近距離被爆 日光角化症に影響 長崎原爆病院発表 女性で発症率1.75倍

 日赤長崎原爆病院(長崎市、平野明喜院長)は3日、被爆者の女性は皮膚がんにつながる「日光角化症」を発症する確率が、一般の女性よりも高いとする調査結果を発表した。
 同病院は2015年までの10年間に受診した被爆者の男女計約1万2千人を対象に、一般患者の有病率と比較して調べた。
 日光角化症は紫外線が最大の要因で、皮膚が硬くなったり変色したりする症状。女性の場合、爆心地から2・5キロ未満の場所で被爆した人の発症率は約0・9%で、被爆していない人は約0・5%だった。発症リスクは約1・75倍となる。一方、男性の場合、被爆の有無や距離に関わらず発症率の差はほぼなかった。
 調査結果を発表した同病院の相川忠臣・検体検査管理医は「近距離の女性被爆者は被爆の影響で、高齢になってから発病することが分かった。この結果を治療に生かしていくことが必要だ」と話した。
 同病院によると、2017年度に入院した被爆者は前年度より81人少ない1702人で、新規患者全体の22・4%。平均年齢は80・5歳だった。入院理由は悪性新生物(がん)が全体の37・5%を占めて最多だった。
 日赤長崎原爆諫早病院(諫早市、古河隆二院長)も同日、被爆者の診療概況を発表。17年度に入院した被爆者は前年度より6人多い307人で、新規患者全体の16・3%だった。

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