〈八戸三社大祭〉山車制作、次世代へバトン/鍛冶町附祭若者連

下崎雅之さん(右)から制作責任者を引き継いだ大入和也さん。世代間で技術の伝承に取り組んでいる=3日、八戸市

 ユニークで創作性の高い山車で観客を魅了する、八戸三社大祭の鍛冶町附祭(つけまつり)若者連が世代交代を進めている。次代を担う制作陣の底上げと技術の継承を図るため、16年にわたり制作責任者を務めた下崎雅之さん(63)が今年、中堅の大入和也さん(44)にバトンタッチ。ベテラン勢が裏方に回り、中堅・若手が奮起して完成した山車は昨年に続き秀作を受賞した。地元・鍛冶町を出発する3日のお還(かえ)りでは、沿道の地域住民を前に"凱旋(がいせん)"し、堂々とした姿を披露した。

 長者まつりんぐ広場内に山車小屋を構える同若者連。制作現場を一般や地元の子どもたちに公開するなど、積極的に三社大祭の魅力発信に取り組んできた。

 制作はこれまで60代以上が山車の核となる人形や模型、中堅や若手が仕掛け、塗装、小物や装飾品を担当するなど分業してきた。

 ベテランの高齢化などを背景に、中堅や若手にノウハウを教えながら、一緒に山車を作りたいと以前から思っていた下崎さん。それぞれが「専門職」で制作するのでなく、技術の幅を広げた「多能工」へ転換させようと制作体制を見直し、数年かけて技術継承に取り組むことに決めた。

 今年は、馬がたくさん登場する戦記物をテーマに採用。馬の制作が精巧な山車飾りを作る上で、基礎的な技術を学ぶことができるというのが理由だ。

 大入さんは、下崎さんらから細かいアドバイスを受けながら、体長180センチほどの馬2頭に挑戦。他の中堅も馬や龍、人形の表情、若手は小物をメインに、それぞれ"スペシャリスト"たちから作り方を習った。

 世代交代を機に、会員制交流サイト(SNS)ソーでの情報発信も開始。新たな若手制作者が増えるなど、相乗効果も生まれた。

 下崎さんは"新体制"で作り上げた山車を見上げ、「約130年の(同若者連の)伝統を残しつつ、若い人のアイデアが詰まった山車になった。馬は八戸で一番きれいな顔をしているし、息遣いが伝わってくる」と頬を緩めた。

 お還りの運行は「秀作」の立て札を堂々と掲げ、鍛冶町を出発。「お囃子(はやし)賞」を受賞した囃し手たちは、地元住民の「いってらっしゃい」「ご苦労さま」との激励に応えるように笛や太鼓を披露した。

 大入さんは「人前に出せる山車が出来上がり、一安心という気持ちが大きい。みんなで協力して先輩方の技術を学び、未来につなげていきたい」と力を込めた。

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