被爆…外国人も知って 広島市、原爆遺構巡るルート策定へ 「核許さぬ世の中に」

本川小の平和資料館に展示されたパネルを示し、被爆状況などを説明する吉岡克弥校長=広島市
平和記念公園を訪れた外国人観光客ら。オバマ前米大統領の来訪を機に、平和への関心が高まっているという=広島市

 広島市は、外国人観光客らに被爆の実相を知ってもらうため、同市に点在する原爆関連遺構・施設を巡る「ピースツーリズム」のルート策定を進めている。今秋までにルートを正式に決め、遺構や施設の情報をスマートフォンなどで見られるようにする予定だ。

 同市の平和記念公園。8月の炎天下、大勢の外国人がカメラを手に、園内の原爆ドームや平和記念資料館に足を運んでいた。

 ポーランド出身のピョートル・ディボゥスキーさん(33)は「核の恐ろしさに驚いた。実際に使われたことが信じられない」。アイルランドから訪れたデボラ・マッカードルさん(51)も「被爆証言のビデオを見て、悲しくなった。核を許さない世の中になってほしい」と語った。

 市によると、2017年に広島市を観光で訪れた外国人は約152万人で、12年に比べ4倍以上。16年のオバマ前米大統領の来訪を機に注目度が上がったという。外国人の大半は平和記念公園を訪れる。だが、ほかの被爆した小学校や病院、小規模な資料館など50カ所以上ある原爆関連の遺構・施設への訪問は1割に満たない。

 巡回ルート策定も、急増する外国人観光客に、さまざまな施設に足を運んでもらい「平和について考えを深めてもらいたい」というのがきっかけだ。

 市は昨年度から協議を始め、「被爆建造物」「文化・文学」「復興」「資料館」の四つのテーマに絞ったという。テーマに合った3~14遺構・施設を徒歩、自転車などを利用して巡回できる6ルートを検討している。

 コース施設の一つ、爆心地から約410メートルの本川[ほんかわ]小には、当時の校舎の被爆状況を示すパネルなどを展示する平和資料館がある。年間来館者は約2万8千人。すぐ近くの平和記念資料館を訪れる約168万人(17年度)の60分の1にとどまる。

 吉岡克弥校長(62)は「原爆が落ちた時、子どもたちがどんな状況だったのか。ここでしか分からない被爆の実相を知ってほしい」と期待する。

 市は各ルートの写真マップを日本語と英語で見られるように、スマホ用のサイトを制作する予定だ。市観光政策部観光プロモーション担当の坂本優治さん(44)は「世界中の人に訪ねてもらい、悲劇を繰り返さない誓いを共有したい」と話している。(臼杵大介)

(2018年8月5日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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