Matternet、医療物資をドローン配送でBoeingから1600万ドル出資取得~アメリカ領空でのサービス拡大を目指す

カリフォルニアにある運送会社のMatternetが昨年Swiss Postとともに、スイスの人口の多い市街において医療物資や血液サンプルの航空配達を行った。5月には、トランプ政権のUAS統合パイロットプログラム(UAS Integration Pilot Program)に加わり、ZiplineとFlytrexと提携してより徹底したかつより制限の少ないドローンによる配送テストを北部カリフォルニアで行っていく。

MatternetはBoeing社のHorizonX Ventures主導で1600万ドルの資金を取得したという。Matternetはアメリカ国内また海外の都市での事業拡大のためにHorizonX Venturesと協業していく考えだ。

BoeingのHorizonX Venturesのマネージングディレクター、ブライアン・シェトラー氏は、次のようにコメントしている。

シェトラー氏:Matternetの技術とこれまでの実績により、安全で、世界基準の自動空中輸送システムというものがより現実的なものとなった。

スイスで航空配達が上手くいったことや、無人航空ネットワークの実験をアメリカで行うようにと連邦航空局に指名をいただいたこともあり、私達はこれから世界がどうつながり、どのような次世代の輸送ソリューションを作り上げていくかを一緒に考えていけることにとても嬉しく思っている。

このシェトラー氏の発言は、広報用にかなり前向きなことを言っているだけだと思うかもしれないが、この発言はしっかりと根拠に基づくものである。Matternetはすでにスイスの人口密集地域での飛行に1700回以上も成功し、医療サンプルや物資を850回以上にわたって届け、効果的に直接患者に必要な物資を届けることができた。まだ創生期にあるUAS統合パイロットプログラムに参入したのももちろん、単にMatternetの医療ドローン配達事業の流れに飛び乗りたい投資家たちのために色を添えるためである。

もしこれまで資本もしっかりしたドローンの輸送会社Matternetについて知らなかったとしても、配達のプロセスは簡単に理解できる。まず、アプリを利用してフォームに輸送するアイテムの詳細などを記入し、事前に承認されたアイテムの受けとり・配達先を選択する。例えば、血液サンプルなどは離陸前にドローンのコンパートメントにおかれる。配達されたときには、受け取り手がQRコードか2次元バーコードをスキャンして、荷物を受け取ることができる。このビデオを見れば、Matternetのサービスがどんなものかよく理解できるだろう。

これまでにもドローン産業において速で確実な医療物資の配達を目的とした試みが、なされては来たが、Matternetは着実に成功を収めている。スイスにおいて安心安全な空中配達業者としての地位を確立し、約2000回の実地飛行が成功を収めている。さらにMatternetはノースカロライナ州で行われている合衆国の実験に参加し、政府からも認められ、Boeing、Swiss Post、Sony Inovation FundやLevitate Capitalからの出資により、1600万ドルの資金を得ている。これまでの実績と、このような各社の支持を鑑みれば、Matternetが目指しているアメリカ領空での事業拡大も、実現性があるだけでなくかなり論理的な結論だと言える。

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