金属行人(8月7日付)

 四季を通じてさまざまな展示会やイベントでにぎわう東京・有明の東京ビッグサイト。最寄りの国際展示場駅から徒歩で現地に向かう道のりがにわかにひんやり心地いい▼その理由は、行政が試行導入する緑化施設や冷房装置。2020年の東京五輪・パラリンピックの開催まで2年を切り、国土交通省や東京都が暑熱対策に動いている▼緑化技術の公開テストでは、自立型の構造見本(モックアップ)を並べ、植物の生育や耐久性などを調べるのに対し、微細な霧を使った冷房では少量、大量、ファン併用と3種の噴霧で涼しさの違いを体感してもらう▼共に形鋼や鋼板をはじめ鉄鋼製品を部材に取り入れている。9月まで効果の測定や利用者のアンケートを実施しており、期間中に対象エリアを行き交う業界関係者も少なくないだろう▼今後の活用法次第では、同様の光景が競技会場や公共交通機関で見られるかもしれない。これだけ暑いと、期間やエリアを問わず、潜在的な市場ニーズは計り知れない▼現状のままで、果たして選手や観客に対する影響を危惧する人は少なくないだろう。予算の都合もあるだろうが、快適な空間の確保に向けた動きの表面化は、何より清涼剤になろう。

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