「習主席、プーさんとそっくり」に不快感か 中国、ディズニーの実写版上映禁止

By 太田清

上海協力機構の首脳会議後、共同記者会見であいさつする中国の習近平国家主席=6月10日、中国山東省青島(共同)

 英国の児童文学作家A・A・ミルンの児童小説「くまのプーさん」を基にした実写版映画「プーと大人になった僕」(原題クリストファー・ロビン)の中国での上映が禁止されることになった。米雑誌ハリウッド・リポーター(電子版)などが7日までに伝えた。中国当局は禁止の理由を明らかにしていないが、中国ではSNSやブログで、プーさんと習近平国家主席が似ているとしてからかう風潮に対し当局が画像や名前などの検閲に乗り出しており、同誌は上映禁止の背景にこうした動きがある可能性を指摘している。 

 「プーと大人になった僕」は9月14日に日本公開予定のディズニー映画。大人になったクリストファー・ロビンが親友のプーさんと再会し新たな冒険をする物語で、映画ではプーさんが重要なキャラクターとして登場するが、中国で丸っこくてふっくらしたプーさんの外見が、習主席に似ているとからかう投稿がSNSなどで相次いでいた。 

 英紙ガーディアン(電子版)によると、最初にからかいの投稿が現れたのは2013年の習主席訪米の際。習主席がバラク・オバマ大統領と並んで歩く写真が、プーさんと手足がひょろ長いトラのキャラクター、ティガーが歩く様子とそっくりだと話題になり、両首脳とプーさん・ティガーそれぞれの写真を比べるイメージがネットで頻繁に取り上げられた。 

 次に話題となったのが14年の安倍晋三首相との会談で、安倍首相と握手する習主席をプーさんに、安倍首相をプーさんの親友のロバのイーヨーになぞらえ、からかう画像が現れた。15年に車に乗り軍事パレードに参加した習主席と、車に乗ったプーさんのおもちゃのそれぞれの写真を並べたイメージがネットに掲示されると、中国当局は「習主席の尊厳を損なう深刻な試み」として厳しい取り締まりに乗り出した。 

 一方で、ハリウッド・リポーターは、中国が国内で上映を許可する外国映画の本数を制限していることも上映禁止の背景にあるとする消息筋の話も紹介している。 (共同通信=太田清)

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