【台風12号】高波、8メートル超も 気象庁解析

 小田原市や湯河原町などの沿岸部に大きな被害を及ぼした台風12号の高波は、相模湾などで8メートルを超えていたとみられることが気象庁の解析で分かった。「10メートル以上の最大波が押し寄せていた可能性もある」という。

 気象庁は全国6カ所の波浪観測地点や国土交通省設置のGPS(衛星利用測位システム)波浪計などの観測結果を基に1日に2回、全国の波浪状況を推定。12号が県内に接近した時間帯に近い7月28日午後9時の波浪データを横浜地方気象台が調べたところ、相模湾や周辺では8メートルを超えていた。

 また、小田原の潮位観測では28日午後6時すぎの63センチが最も高く、海面が上昇する高潮の影響も重なったとみられる。

 12号は強い勢力を保ったまま関東に接近。相模湾の南を西へ進む異例の経路をたどり、三重県伊勢市付近に上陸した。気象庁の波浪観測地点のうち神奈川に最も近い伊豆半島南端の石廊崎では、29日午前0時と同1時にそれぞれ3・9メートル、同2時に最大の4・1メートルの高波が捉えられていた。

 気象庁は「海底地形の影響などもあり、観測された波以上の突発的な高波が押し寄せることはあり得る」としている。

 12号の高波被害は神奈川県西部に集中し、小田原漁港に建設中の交流促進施設が大破したほか、湯河原町で海の家12棟と警備本部の小屋が全壊、真鶴町では住宅1棟が半壊となった。海沿いの国道135号を通行中だった救急車や乗用車など15台が高波に巻き込まれた。

◆カメラなど対策強化へ 県、高波被害受け

 台風12号による国道135号の高波被害を受け、被災区間を管理する県は、監視カメラを増設するなどの対策強化に向け検討を始めた。高波の影響が予想された場合、いち早く通行止めの措置を講じられるようにする。

 県によると、複数の車両が高波に巻き込まれた小田原市米神、同市江之浦の現場周辺には、波などの状況を把握できるカメラがある。7月28日の12号接近時も映像をチェックし、職員が現場確認に向かったが、規制を開始した午後7時半よりも前に高波の影響が及び始めたという。現場区間は、雨量による通行止めの基準はあるが、高波による規制基準はない。

 こうした状況も踏まえ、カメラを増設するほか、既存のカメラを夜間でも視認性の高いタイプに見直すといった対策を検討。通行止めや避難対応の迅速化につなげる考えだ。

海の家に使われていた柱や鉄骨などなどを集めトラックに積み込む撤去作業=30日午後、湯河原海水浴場

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