あす長崎原爆の日 入念に式典準備

 長崎は9日、原爆投下から73回目の「原爆の日」を迎える。核兵器廃絶を目指す新たな国際的潮流がある一方で、核に依存する国の姿勢は依然かたくなだ。長崎県長崎市は松山町の平和公園で平和祈念式典を開き、田上富久市長が平和宣言で核抑止政策からの転換を世界に訴える。核廃絶への“うねり”を高める契機となるか注目される。7日はリハーサルがあり、参加者は念入りに流れを確認していた。

 昨年は核兵器禁止条約が国連で採択され、非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞、核廃絶への新たな潮流が生まれた。

 一方、米ロなど核保有国や「核の傘」の下にある日本など同盟国は核に依存し続けている。安倍晋三首相は6日の広島原爆の日の平和記念式典後、核禁条約への不参加の立場を改めて表明した。

 核兵器の非人道性を身をもって訴えてきた被爆者の高齢化も進む。昨年度末の被爆者数は県全体の7割を占める長崎市で2万9064人と前年度から1749人減少、平均年齢は81・67歳と0・66歳上昇した。

 式典は午前10時40分に開始、原爆が投下された11時2分に黙とうする。来賓として安倍首相や各国大使に加え、国連のグテレス事務総長も初めて参加。田上長崎市長や被爆者代表が核禁条約の早期発効などを訴える。

 7日のリハーサルでは参加者が献花などの手順を確認。「あの子」を合唱する市立山里小の児童はきれいなハーモニーを響かせた。

平和祈念式典のリハーサルで合唱する山里小の児童=長崎市、平和公園

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