猛暑の登山、脱水に注意 水分、体調しっかり準備を 認定山岳医に聞く

「山の日」に登山を楽しむ登山客。脱水を避けるため、近くの里山でも十分な水分を持っていこう=2016年、玉名市の小岱山

 8月11日は「山の日」。アウトドアレジャーを楽しむ人が増える中、中高年を中心に登山やハイキング中に体調を崩す人も増えているという。日本登山医学会認定山岳医の土井理さん(58)=熊本市南区=に、山で起こる体のトラブルや予防法を聞いた。

 猛暑の今夏、山で目立つのは「脱水」だ。「荷物になるから、と必要な水を持ってきていない人が多い」と土井さん。阿蘇や久住など近くの山でも、脱水で青白い顔をして、登山道で動けなくなっている登山者をよく見かけるという。脱水は放置すると重度の熱中症を起こし、遭難に直結する。

 登山で失われる水分量は「体重×行動時間×5ミリリットル」とされる。体重60キロの人が5時間歩けば1500ミリリットルが失われる計算だ。夏場はこれに大量の発汗が加わるため、さらに多くの水分補給が必要になるという。

 「登山中の沢などで水を確保できない場合、登り始める前に用意しておく必要がある」と土井さんは強調する。

 脱水は重症化すると水分を吸収する体力が弱まり、回復が困難になる。登山中に口の渇きを感じたら、こまめに水分補給するようにしよう。スポーツドリンクなど塩分と糖分を含むものであれば、ナトリウムやエネルギーの補給にもなる。

 持病のある人は、登山前に医師に相談を。糖尿病の薬や血圧を下げる薬の中には、登山中に低血糖に陥ったり、利尿作用で脱水が起きたりするものがある。持病や日頃飲んでいる薬は、登山グループのリーダーや仲間に伝えておきたい。

 登山中に風雨にさらされると、夏山でも低体温症を起こすことがある。「初心者は雨が降ると立ち止まってしまうが、歩き続けたほうが体温の低下を防ぐことができる」と土井さん。夏場は最初晴れていても急に雷雨になることもあるので、レインウエアは必ず持っておくこと。雷が鳴っている時は姿勢を低くし、むやみに動かないほうがいい場合もある。

 初心者が日本アルプスや富士山など2500~3千メートル級の山に行く場合は、急性高山病についても知っておこう。低酸素の環境で起きる病気で、主な症状は頭痛、ふらつき、吐き気、めまいなど。重症化すると意識障害など命にかかわるので、それ以上高い所に登るのを避け、改善しなければ早急に標高の低い所に下りて治療しなくてはならない。「特に標高の高い所に着いた翌日に発症することが多い。前日に睡眠不足などがあると起きやすい」と土井さん。

 高山病の不安がある人に、土井さんは酸素が薄い高所でより多くの酸素を取り込み、高山病の予防になる「口すぼめ呼吸」を勧めている。登山道を歩きながら、鼻から大きく息を吸っておなかを膨らませ、口をすぼめて20~30センチ先のろうそくの炎を吹き消すように吐く。吸気1、呼気2くらいの割合で、ゆっくりと息を吐くことが大事。速く息をすると過換気になるおそれがある。

 「身近な里山でも高山でも、体調のトラブルは遭難に直結することもある。事前にコースを下調べし、必要な装備、食糧をしっかり準備して登山を楽しんでほしい」と土井さんは呼び掛けている。(伴哲司)

(2018年8月8日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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