なぜ辞職せず議会を解散できるのか?セクハラ疑惑の町長が議会を解散。群馬県みなかみ町長・前田善成(まえだ よしなり)氏の経歴は?

群馬県みなかみ町の前田善成(まえだ よしなり)町長は、女性に抱きついたりキスをしたとするセクハラ疑惑問題に関して町議会からの不信任決議を受けました。その後、8月6日に前田氏は自身の辞職ではなく議会の解散を選択したため、みなかみ町議会議員選挙は9月9日投開票で行われることとなります。なお、前田氏はキスをしたことは認めた上で、女性からの好意があったと認識しておりセクハラ的・犯罪的なものではないと主張しています。

みなかみ町議会議員3期を経て、みなかみ町長へ

前田善成氏は1967年8月21日の生まれで現在50歳です。県立沼田高等学校を卒業後、八戸工業大学工学部建築工学科に進学。同大学を卒業後、1991年に前田設備(有)に入社しています。1995年に(株)前田設備・代表取締役社長に就任しました。

その後、2006年のみなかみ町議会議員選挙に立候補し、616 票を得て初当選。2010年の同選挙では770票を得て再選、2014年には595票を得て3選を果たします。地域活性化対策特別委員長、産業観光常任委員長などを歴任。2016年には高崎経済大学大学院・地域政策研究科地域政策専攻博士前期課程を修了します。2017年にはみなかみ町長選挙に立候補し、5,779 票を得て初当選を果たしました。

不信任決議案を受けて、議会を解散

 

みなかみ町議会は7月27日、町長の不信任決議案を可決しました。地方自治法の規定では、議会が長に対する不信任決議案を可決したとき、町長は議会を解散するかしないかを選ぶことになります。町長が議会を解散した場合、40日以内に議会議員選挙が行われます。なお、議会を解散しない場合、長は失職することになります。

この出直し町議選が行われたのち、初めて招集された議会でまた町長に対する不信任可決案が可決されると、町長は失職することとなります。

不信任決議案を受けて前田氏は8月6日、町長の辞職ではなく議会を解散することを選んだため、町議会は解散され、9月4日告示・9月9日投開票で町議会議員選挙が行われる予定となっています。なお、この議会議員選挙が行われたのち、初めて招集された議会でまた町長に対する不信任可決案が可決されると、町長は失職することになります。

町長も議会も直接有権者から選ばれるため、同程度の重みを持つ

地方公共団体では、首長(市長や町長、村長など)も議会も直接有権者からの投票を通じて信任を得ているため、どちらの存在も同程度に重みを持っています。そのため議会が長の不信任案を可決した場合でもすぐに首長が失職することはなく、今回のように議会議員選挙を行って住民に改めて信を問うた上で、再び長に対する信任・不信任(=長の続投か失職か)を決めるという仕組みになっています。

© 選挙ドットコム株式会社