【オリジナル6連載:最終回】ブラジル~コロンビア~フットゴルフ!コージャ今村選手インタビュー

 フットゴルフは2015年に初めて日本代表が選出された「サッカー」×「ゴルフ」の新スポーツです。初代日本代表6名は「オリジナル6(シックス)」と呼ばれています。Golaco[ゴラッソ]では、昨年から彼らのインタビュー記事を連載形式で掲載しています。

 今回で最終回。フットゴルフのオリジナルブランド「DiAMANTEE(ジアマンティ)」を立ち上げ、自身でデザインしたウェアを着用して大会に出場する個性的なフットゴルファー。ファッション面を評価されてフランスのフットゴルフマガジンに取り上げられたこともあるコージャ今村選手にインタビューしてきました。

オリジナル6/写真提供:コージャ今村選手

左から新井晋選手、鈴木秀成選手、桑田寛之選手、田中雄太選手、冨沢和未選手、コージャ今村選手)

世界で選ばれた4人のうちの1人~コージャ今村選手とは~

 コージャ今村選手はフットゴルフ日本代表経験者であり、世界で4名だけ選ばれたGolfTabTeam (ゴルフタブチーム)に所属しています。

 GolfTabTeam とは、FIFG(世界フットゴルフ連盟)のオフィシャルスコアリングシステムを管理するスペインのGOLFTAB社が設立したチームで、世界的な有名選手のみ4名で構成されています。

写真提供:コージャ今村選手

【コージャ今村選手の日本代表選出歴】


2015年 キャピタルカップ(初代日本代表選出大会)

2016年 アルゼンチンワールドカップ

     パシフィックトロフィー(日米対抗戦)

2017年 USプロアマ


サッカーのためにブラジル留学したサッカー少年~

写真提供:コージャ今村選手

――コージャ今村選手は元々サッカーのプロを目指していたのでしょうか?

「はい。プロのサッカー選手を目指していました。セゾンFCという滋賀県のクラブで育ち、サッカー指導者だった叔父の岩谷篤人の影響も受けました」

「高校を卒業してすぐにサッカー留学でブラジルに渡って2年間過ごし、そこで世界の広さを知りました。例えば日本だと仕事を辞めたとしたら、“次どうするの?”って当たり前のように聞かれますよね。でも、ブラジルでは滅多に聞かれません。 “無駄な時間なんて何もない”という考え方を持っています。そういう国による価値観の違いも学びました」

「当時、ブラジル人に“どうやってブラジルにきた?”と聞かれたことがあります。“飛行機で来た”と答えたら“バカだな!バスのほうが安いのに!”っていわれたのです。相手は日本が島国で、ブラジルとは陸続きではないということも知らないのです」

「(ブラジルの後に渡った)コロンビア時代の監督で、とても太っていて、いつもお菓子を食べながら指導して癇癪を起こしまくっている人がいました。彼に“どうしてあなたは太っているのに、いっぱい食べるの?”と聞いてみたら “俺は食うのが一番好きだからだ。いつも食べていたい。それのどこが間違いだ?それが人生ではないのか?やりたいことやって死ぬって最高じゃないか?”といわれたのです」

「彼らの言葉にはハンマーで殴られたような気分になりました。日本とは価値観が違う。“自分の人生を自分らしく生きる”という感覚が養われました」

――10代でサッカーのために海外に渡るとは、大きな決断をしましたね。言葉の面は問題なかったのでしょうか?

「ポルトガル語はわかりませんでした。半年勉強してもわからなくて、僕は自分のことを頭が悪いのではないかと思いました。でも、ある日突然繋がって、ぶわーって言葉が入ってくるようになりました。“わかるわかる~!!”って。語学力は勉強した量に比例して右肩上がりで伸びるわけではないみたいです。僕の場合はいきなりゴーンって伸びました」

「ブラジル留学の後はコロンビアに移りサッカーチームに所属しました。そこには日本人はいませんでした。ブラジルはポルトガル語。コロンビアはスペイン語を使用します。スペイン語はポルトガル語に似ている部分があるので“なんとかなるやん”と思っていたのですが、実際にコロンビアに行ったらスペイン語がわからず。初めてホームシックを経験しました。でも、1ヵ月経過したらまた、“わかるわかる~!!”が来ました」

「コロンビアの、1万人の観客が入るくらいの小さなスタジアムで、僕が所属していたチームが4-2で勝った試合があって。僕は2点目と4点目を決めました。そのとき頭がトリップしたというか。観客席のあたりを走っていたらサポーターが大盛り上がりで。自分の人生の中でもエキサイティングな経験をしました」

「僕が影響を受けた、サッカー指導者だった叔父の岩谷篤人は何十年も前から“日本サッカーには日本オリジナルのスタイルが必要だ”と考えていた人で。僕にはブラジルやコロンビアでサッカーをプレーした経験も背景にあって。フットゴルフについても似たような考え方を持つようになりました。“南米スタイルが良い“”ヨーロッパスタイルが良い“とか、そういうのではなく」

「フットゴルフでも教えてもらうというより自分のスタイルを構築して、多角度に。上から見たり、下から見たり、半分に割って見たりとか、多角度に観る癖が染みついているのですが、これはこれまでの経験から来ているものだと感じます。自分でプレーしてみるのも大事。情報も大事。成績を解析するのも大事。自分は何番ホールが苦手とか、そういうのを解析するのも大事です」

コロンビアから帰国して社会人~フットゴルフとの出会い

写真提供:コージャ今村選手

――フットゴルフとの出会いについて教えてください。

「第1回目のジャパンオープンに友人が出場したことで存在を知りました。子どもの頃からサッカーをずっとやってきて、大人になってからはゴルフもやっていて、どちらもおもしろいからフットゴルフをやってみたくなりました」

「2014年に出た大会で、60人くらい出場していた中で準優勝。フットゴルフは自分のためのスポーツだと感じ、翌月に開催されたジャパンオープンにも出場しましたが、意気揚々と出たら確か14位とかでダメでした」

「2015年になり、ジャパンオープンを通じてフットゴルフ初めての日本代表が選考されることになり、それがオリジナル6(初代日本代表の6名)になるきっかけとなりました。そのときのジャパンオープンでは4回試合があって。第1戦目が50人か60人中の23位。第2戦目が60人中51位でした。その時点では上位6人(日本代表)になるなんて絶望的。やらないほうが良いのではないかと思いました」

「でも、第3戦目で優勝。第4回戦目の最終戦では2位タイというドラマティックな流れでオリジナル6になることができました。第3戦目で優勝していなければおそらくここにはいないです。それまでは本名で出場していましたが、日本代表として初めて出場したオランダのキャピタルカップという大会から“コージャ今村”という、今名乗っている選手名で活動するようになりました」

サッカーを引退した社会人が感じるフットゴルフのおもしろさ

――サッカーとフットゴルフはボールを蹴ることは共通していますが、スポーツとしては大きく違います。コージャ今村選手が思う、フットゴルフのおもしろさを教えてください。

「(フットゴルフは)まだ、やっている方がおもしろいです。僕はずっとサッカーをやってきて、滋賀県で育ち、(サッカーのために)ブラジルに行って、その後コロンビアに行って、再び滋賀県に戻り、その後上京しました」

「サッカーの場からビジネスの場に移ってからは、サッカーを本格的にすることはなくなっていました。でも、フットゴルフをやったら真剣勝負で、久しぶりに刺激的で。またこの緊張感を味わえるのかと。勝負に身を置ける喜び。充実感がありました」

「僕はオリジナル6としてオランダのキャピタルカップに出場しましたが、世界のレベルは高かったです。そのとき、目指すべきものがある、フットゴルフは世界に繋がっていると感じました。(フットゴルフが)メジャースポーツになれば良いなと。サッカーとゴルフはメジャースポーツだし、融合しているフットゴルフもそうなれるんじゃないかと思います」

もっと気軽にフットゴルフ!スクワッズというスタイルの開発

――スクワッズというフットゴルフのゲームスタイルを考案し、定期的に大会を開催されているようですね。スクワッズについて教えてください。

「スクワッズはフットゴルフのチーム戦です。フットゴルフを普及していくためにはサッカーの要素が必要だと思い考案しました」

「スクワッズは9ホール(通常のフットゴルフは18ホール)を3人1組で回り、ポイントで勝敗が決定します。バーディーは1点、イーグルは3点、ホールインワンで5点という得点方式です。5m以上離れた位置から決めるとさらにプラス1点。最終的にポイントが多いチームが勝利となります」

「スクワッズのおもしろいところは、そのうち2回だけ“ダブルトライ”というものを宣言できるところです。ダブルトライを宣言して得点すると、得点が倍になるというルールです。バーディーを取れたら倍の2点。イーグルなら6点。大逆転の可能性も出てきます。ただし、外すとマイナスになります。逆転があるとおもしろいから、このようなルールを作りました」

「スクワッズでは6チームから8チームが同時に回ります。だからライバルチーム全ての得点を把握できます。良いプレーをすれば全員が盛り上がります。みんなのプレーを見ることもできます。スクワッズはフットゴルファーたちに好評です。プレーする人も見る人も両方楽しめるゲームだと思うので、これからも実施していきたいです」

「僕はフットゴルフをサッカーやゴルフのように、文化にしていきたいです。文化にするには地道に伝えたり、普及したりしていかなければいけない。現状は難しいところもあるけど、長い時間をかけても徐々に普及活動をしていかなければと考えています。スクワッズは初心者でも始めやすい内容になっているので、まずは一回やってもらって、フットゴルフというスポーツにも興味を持ってもらえたら良いなと思います」

インフォメーション

コージャ今村選手

Twitter:@kojaimamura

Instagram:kojaimamura_footgolf

オリジナルフットゴルフブランド「DiAMANTEE(ジアマンティ)」を立ち上げ、大会出場時は自身がデザインしたウェアを着用。2017年フランスのフットゴルフマガジンで「世界で最もスタイリッシュなフットゴルファー」として取り上げられる。

小学生から滋賀県のセゾンFCで育ち、高校卒業後2年間のブラジルサッカー留学。

その後コロンビアのチームでプレー。帰国後はセゾンFCで指導者となる。指導した選手の中にはサッカー日本代表、現ベティス所属の乾貴士選手らがいる。

現在は広告デザイン会社の代表取締役をしながらフットゴルファーとして活動中。

© 株式会社愛幸