改革必須!?JFA公認ライセンスと指導者の指導環境を考察

日本サッカー界の未来を担う、多くの指導者たちが日々、現場で指導にあたっている。今回はJFA公認の指導者ライセンスと指導者たちの環境について触れていく。

現場以外で学ぶ環境のない指導者たち

日本には、少年団や中学校の部活動などのボランティアコーチ、副業コーチ、サッカーを教えてることを生業とするプロコーチと様々な形で指導する指導者達がいる。それらの指導者たちは現場の指導以外でサッカーの戦術や指導をどのように学んでいるのだろうか。

多くの指導者達は日本サッカー協会などが主催する「指導者講習会」に参加したり、動画コンテンツや自分で試合会場に足を運んだり、して学んでいることが想定される。海外研修や留学で海外から学ぶ方法もあるが、時間もお金もかかり、現場の指導からも一定期間離れることになるためあまり現実的ではない。

現場以外で彼らが学ぶ機会は極めて少ないが現状である。そして、「指導者養成機関」など指導者を育てる組織がJFA以外でほとんどないのも問題として挙げられる。育成に定評があるスペインではコーチングスクールといった指導者が学ぶ環境が用意されていて、平日6時間を座学と指導実践に充てられ、週に5日間みっちりとそれをこなすという。

これらのコーチングスクールではもちろん現場での指導実践も行われており、理論と実践経験を身につけた指導者がそれぞれのクラブで指導している。日本も選手の育成をするための「指導者の育成」が必要不可欠であり、そのためにはこのような指導者を育成する機関が必要となってくる。

日本の指導者は学ぶ時間がない?

日本は欧州などに比べて、少年団や部活、クラブチームの練習量がかなり多くなっている。そして、指導が本業の場合もそうでない場合も多くの指導者がフルタイムで夜遅くまで働いてるため、学ぶための時間がないのも事実だろう。

学ぶ環境もなければ時間もない。現場での指導だけでは限界があり、これらの要因が指導力の向上の大きな壁となっている。

JFA公認ライセンスの価値とは?

次に、日本サッカー協会公認の指導者ライセンスについて触れていく。現在は、公認S級コーチライセンスが最上位であり、以下A級~D級、キッズリーダーが設けられている。D級、C級は主にU-12年代の指導を対象としたものであり、基本的には講習会を受講すればほとんどの者が取得することができる。

D級とC級の大きな違いは、「リフレッシュポイント」と呼ばれる更新のために必要な制度の有無だ。D級ライセンスは一度取得すると、更新料(JFAへの登録料)を支払うだけで自動更新される。しかし、C級より上のライセンスは更新するのにJFAが定めるリフレッシュポイントを取得しなければライセンスが失効する。

このリフレッシュポイントは、JFAの主催する研修に参加することで取得することができる。この制度自体は悪いものではないのだが、現場で指導をしているとそれだけである程度リフレッシュポイントを取得できてしまうことが問題である。

せっかくリフレッシュポイントの制度が設けられているにも関わらず、JFA主催の研修に参加してリフレッシュポイントを稼ぐ機会はそう多くはないのだ。

そして、D級に関しては全くこれらの研修を受けずに更新することができてしまう。D級、C級ライセンスは基本的には誰でも取得、更新できることからライセンスの価値は決して高いものとはいえないだろう。

日本サッカーの育成を変えるには、指導者の環境やライセンス制度など様々な課題を解決していく必要がある。今後の改革に期待したい。

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