長崎にしかない歴史大切に 漫画家の西岡さん、レンゾ神父が講演

 長崎文献社主催の文化フォーラム「世界の中の長崎キリシタン」がこのほど長崎市内であり、キリシタン史に詳しい神父と漫画家が世界文化遺産になった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に触れ、「長崎にしかない歴史を世界で大切にしていかなければいけない」と語った。
 キリスト教伝来から禁教、信徒発見までの歴史を題材にした漫画を描いた市内在住の漫画家、西岡由香さんと、元日本二十六聖人記念館館長でイエズス会日本管区長のデ・ルカ・レンゾ神父が登壇した。
 西岡さんは「世界遺産登録へ向け、宗教に関係なく皆が力を合わせて道をつくった。その光景そのものが世界遺産」と指摘した。レンゾ神父は、国内外の古い資料を示しながら信仰が続いてきた歴史を解説。日本の鎖国時代、南米などの出版物で日本二十六聖人の殉教が取り上げられ、各国に「模範」として伝わっていたことを紹介した。
 講演後、参加者が「多くの信徒がいて『四番崩れ』など弾圧の歴史がある浦上地区がなぜ、世界遺産の構成資産に入らないのか」と質問。レンゾ神父は「今の12資産だけでは(ストーリーとして)足りない部分もあると思う。資産に入る入らないは別にして、潜伏キリシタンを語る上では、浦上も外してはいけない」と答えた。

潜伏キリシタンの歴史などを語ったレンゾ神父(右)と西岡さん=長崎市上町、NBCビデオホール

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