「平等な権利が必要なだけ」LGBT差別発言問題 県内当事者

多様性を認め合う社会の実現を目指して開催された「レインボーパレードくまもと2018」=4月1日、熊本市中央区

 性的少数者(LGBT)のカップルに関し「『生産性』がない」とした自民党の杉田水脈[みお]衆院議員(比例中国)の寄稿が批判を集めた。こうした偏見や差別をどう受け止め、社会や法制度にどんな課題を感じているのか。同性カップルで子育てをする県内の当事者らに聞いた。

 「LGBTに限らず子どもを持ちたくても持てない人らも傷つけ、優生思想にもつながる人権問題」。女性同士のカップルで育児に励む真紀さん(42)=仮名=は、そう前置きして語り始めた。

 真紀さんとパートナー(39)は、それぞれが人工授精によって出産し、小学生と保育園児の兄妹を育てている。クラスの担任や保護者にも同性カップルと打ち明け、理解を得られているという。

 「同性婚が合法な欧米では、人工授精や代理出産、養子縁組で子育てをする同性カップルは一般的。同性愛でも子どもを持ちたい気持ちは同じ」と話す。

 それよりも、LGBTへの行政支援を疑問視する杉田氏の主張や、「(同性愛は)趣味みたいなものだ」とした自民党の谷川とむ衆院議員(比例近畿)の発言に危機感を抱く。

 「事実と異なる偏見を政治家が発信し、それに同調する人がいるのが怖い。LGBTではない人と平等な権利が必要なだけなのに」

 「差別発言を問題視する声も多く、少しずつだが理解の広まりを感じた」。熊本市のトーマスさん(54)=仮名=は冷静に受け止める。同性婚が合法な南米在住の20代の男性と交際中で、ゲイであることを公にしている。4月には多様性を認め合う社会の実現を望むパレードも企画した。

 ただ「自分と異なる性的指向や性自認の在り方に拒否感を抱く意見は根強い。当事者間でも立場の違いから無理解や偏見が生まれる」とも。「まずはLGBTの存在を否定せず、共生を認める人が増えてほしい」と穏やかな声で語った。

 支援や啓発を続ける「ともに拓[ひら]くLGBTQ+の会くまもと」の今坂洋志代表(65)は「LGBTへの一方的な差別や攻撃が表に出ることで、当事者は追い詰められる」と警鐘を鳴らす。一方、自民党内でもLGBTへの差別解消策を目指す法整備の検討が進んでいるという。今坂代表は「教育現場や企業などで当事者の実情と正しい知識を地道に広める啓発活動が重要」と話した。(堀江利雅)

(2018年8月10日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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