調整池水質保全で諫干農地排水浄化 九州農政局が対策追加

 九州農政局の諫早湾干拓調整池水質検討委員会(委員長・平松和昭九州大大学院教授、7人)が9日、福岡市内で開かれた。同農政局は、化学的酸素要求量(COD)などが水質目標値を上回っている状況を踏まえ、干拓農地の排水浄化など5項目の水質保全対策を追加することを説明した。本県が本年度に策定する行動計画に反映される見通し。
 調整池は1997年の湾閉め切り以降、目標値を上回るCODや窒素、リンが確認され、排水による影響が指摘されている。同検討委は2009年、専門家が保全対策の実施状況を助言する目的で設置。10年の開門確定判決後、調整池の環境変化の可能性を考慮し、今回、9年ぶりに開かれた。
 同農政局は▽下水道事業の接続率向上▽高度処理型合併浄化槽の普及-などの対策がCODなどの低減に寄与した一方、干拓農地などの減肥料栽培が進んでいない点を報告。飼料作物の栽培など16項目を継続し、5項目を追加する。委員からは「今後も目標値をクリアできない予測があり、対策を継続して実効性を高めてほしい」などの意見が出た。

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