金属行人(8月10日付)

 来週からは盆休み。今の鋼材マーケットの荷動きはまずまずといったところだが、何とも勢いがない。秋需に期待するしかないといったところで、盆が明けて東京五輪関連の需要が動けば状況も変わるのだろうが、はっきりと良くなりそうな気配もなく、かといって悪くなるような決定的な材料も見当たらない。先行きがつかめない今のマーケットを表現すると「様子見」というのがぴったりなのではないだろうか▼コイルセンターなど流通に「在庫は?」と聞くと、どうも少ない。過剰在庫を抱えているような向きはなく「必要な分だけ買っている」ようにみえる。「なぜか?」と聞いていくと、「誰もがリーマンショックに懲りているのではないか」と言う。あの時の大暴落は今もなお鮮明で、鋼材流通関係者のリスクに対する警戒感は強い。先高を見越した商売はもう見られず、市中では高値警戒感も漂う▼一部品種はメーカー値上げ分をまだ市場に十分転嫁できておらず、その完遂に向けて、ヒモ付き価格の動向が注目を集めるところ。「店売りに比べ、ヒモ付き値上げは不十分だ」との声が市中からは漏れる。さて、盆明けの鋼材市場。「様子見」から脱却できるだろうか。

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