スタバ、リサイクル率50%超にー異業種他社と協働

スターバックスコーヒージャパン(東京・品川、水口貴文社長)は、コーヒー抽出後に出る豆かすのリサイクルを行っている。関東と関西の店舗で出た豆かすを乳牛の飼料と堆肥にリサイクルし、食品廃棄物を削減する取り組みだ。これは酵素の研究に強みを持つ異業種のメニコンとの協働により実現した。豆かすのリサイクルにより、同社はリサイクル率を豆かすリサイクル開始前の32.4%(2013年)から、51.9%(2017年)にまで高めることに成功した。(オルタナ編集部=中島洋樹)

スターバックスコーヒージャパン サプライチェーン本部品質保証部店舗衛生・環境推進チームの普川玲チームマネージャーによると、同社は以前、店舗でコーヒー抽出後に出る豆かすをほとんど廃棄していたという。

同社の食品廃棄物のうち、約85%は豆かすに代表されるような「食べられない」ものであったことから、「豆かすをリサイクルできないか」との話が持ち上がった。普川マネージャーは「CSR部が役員直属で、本件に関する相談や提案のやり取りが容易だったことが実現に向けて大きかった」と振り返る。

リサイクルした豆かすを混ぜた飼料を食べる乳牛

2011年から、豆かすリサイクルへの取り組みをスタートさせたが、2つの課題が立ちはだかった。

1つ目は、豆かすの焙煎臭をどうやって除去するか。豆かすリサイクルは関東と関西の店舗で実施するが、関東では乳牛の飼料、関西では堆肥にするにあたり、焙煎臭が問題となっていた。特に乳牛は焙煎臭を嫌がり、豆かすを混ぜた飼料に見向きもしなかったという。

2つ目は、各店舗で出る豆かすの運搬をどうするかだ。リサイクル施設まで豆かすのみを運ぶ便を仕立てるのは費用がかさむことになり、決済が下りにくかった。

焙煎臭の課題を考えるうちに、この話を聞きつけたコンタクトレンズ国内最大手メニコンから協力の申し出があった。酵素の研究で強みを持つメニコンのバイオ環境事業部との協働で、乳酸菌を用いて焙煎臭の除去が可能となった。

リサイクルした豆かすからできた堆肥

運搬については「食品リサイクル・ループ」の認証を取得することにした。通常は豆かすは産業廃棄物扱いだが、同認証を取得することで、特例として産廃許可が不要になり、運送業者が輸送できるようになる。

これにより、豆かすを原料とする飼料を食べた乳牛から搾取した牛乳や、堆肥で生育した野菜を運ぶ便の帰りに店舗から豆かすをリサイクルセンターに運べるようになった。さらに、リサイクルセンターで製造された飼料や堆肥を生産者らに運ぶことも可能だ。

「食品リサイクル・ループ」を導入するにあたり、同社は既に認証を取得していた流通大手のユニーにアドバイスをもらったという。

こうして2つの課題を解決して2014年3月末から豆かすリサイクルがスタートした。同社は豆かす以外にも、ミルクパックやプラスチック製容器などのリサイクルも進めている。リサイクルは順調に推移して、同社のリサイクル率は51.9%(2017年)になるまでに成果を挙げている。

普川マネージャーは「今後は店舗で販売するドーナツなどのフードロスに関しても取り組んでいきたい」と抱負を語った。

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