サイボウズと八尾市がSDGsで連携、虐待防止にも

サイボウズと大阪府八尾市は8月3日、「持続可能な地域づくりに関する連携協定書」を締結した。両者はSDGs(持続可能な開発目標)の目標11「住み続けられるまちづくりを」に焦点をあて、中小企業の支援や児童虐待防止といった社会課題の解決にITを活用することで、地域の持続的発展を目指す。8月8日に八尾市で始まったものづくり拠点「みせるばやお」の取り組みでも、早速技術の活用が始まっている。(オルタナ編集部=堀理雄)

「チームワークあふれる社会をつくる」を理念とする同社は、データをインターネット上で共有し様々な環境からアクセスできるクラウドの技術を活用し、社会課題解決の支援に力を入れている。

サイボウズ社長室の野水克也フェローは「近年深刻化する地方企業や中小企業の人材不足、人口減少という課題をクラウドの活用によって解決するという観点から、中小企業が多く集まり地域活性施策に積極的な八尾市と連携することになった」と説明する。

八尾市は8月8日、駅前の商業施設のワンフロアに、ものづくり拠点「みせるばやお」をオープンした。地域のものづくりを中心とした企業74社が参画し、各企業の特殊な技術やアイデアを「見せる場」として開かれた。

広く市民に開かれたスペースとして、体験型のワークショップや展示を通じ、これまで各社のなかでしか知られていなかったものを社会に広めていこうという取り組みだ。将来の産業を担う人材育成にもつなげることをねらう。前出の野水フェローによれば、すでにワークショップの参加者管理や、電子掲示板などにITの導入を進めているという。

また今回の提携では、児童虐待の防止にも取り組む方針だ。

サイボウズは児童福祉関係者の連携をITシステムで支援する「なくそう!子どもの虐待プロジェクト2018」を進めている。6月下旬には児童相談所向けにクラウドサービスを5年間無料とする特別プランを立ち上げ、現在問い合わせも複数届いているという。

八尾市の子育て総合支援ネットワークセンター担当者は「児童虐待の防止にとって、関係機関の情報の共有は重要だ。これまでもそうした取り組みは行ってきているが、ITやICTの導入でより早く正確に情報を共有することで、職員間でのネットワークを密にし、虐待を未然に防いでいく。扱う件数が増加している中で、様々な事務作業の効率化にも貢献できるのではないかと考えている」と話した。

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