高台のカキ小屋、呼び水に 閉校した小学校、イベントや勉強会…活用相次ぐ

多くの客でにぎわった旧平国小のカキ小屋=1月、津奈木町
八代海や天草の島々を望む高台にある旧平国小(左)

 八代海を望む高台にある津奈木町の旧平国小は、2016年の閉校以来、目立った活用がされてこなかった。ところが、今年1~5月に津奈木漁協がカキ小屋を開設したところ、多くの人出でにぎわった。これが呼び水となって住民によるイベントや勉強会などの利用が続き、町も活用策の検討を始めた。

 「校舎の利用は住民の関心が高い」「カキ小屋に続いて、夏場にバーベキューをしてはどうか」。7月上旬、平国地区であった町政座談会。住民から旧平国小の利用について意見が続いた。

 平国小は、児童減少に伴い16年3月末に閉校した。町中心部から約9キロ北の静かな丘の上にあり、校舎からは八代海や天草の島々を見渡せる。

 津奈木漁協は八代海でマガキを養殖し、冬から春にかけて町中心部の物産館付近でカキ小屋を営業してきた。今年、旧平国小で実施したのは、物産館が改修中だったため。町中心部ではないため、「客足は遠のく」との見方が大勢だった。

 ところが、「オイスターバル」と銘打ち、カキの欧風トッピングやワインなどを加えてメニューを増やしたことが奏功。眺望の良さとともにネット上などに情報が発信され、1日の平均売上は約9万2千円と前年比の2倍になった。店の模様替えは、県などでつくる水俣・芦北地域雇用創造協議会が漁協に助言した。漁協の福田諭組合長(70)は「予想外の人気だった。来年も旧平国小で続けたい」と話す。

 カキ小屋の開設前には、地元住民が校内の草刈りやトイレ清掃で協力。町内の農商工業者らも2月、学校の廊下や中庭を使って飲食販売などのイベントを初めて催した。

 水俣・芦北地域の大工たちも4月から、若手が技術を学ぶ場として校舎を使い始めた。呼び掛けた大工の長浜満則さん(66)は「地域の核だった学校が少しずつ活気を取り戻しつつあるのはうれしい。これからも活用に関わっていきたい」と笑顔を見せる。

 町内全域に光ブロードバンドが整備されたことなどから、町も懸案だった企業立地や人口減少対策の拠点として旧平国小の校舎に着目。水俣・芦北地域雇用創造協議会と企業誘致などの協定を結ぶITベンチャー企業の助言を受けながら、活用法を幅広く検討している。

 山田豊隆町長は「費用などを総合的に見て検討する」と慎重ながらも、「旧平国小を中心に地域に活気が出るのは喜ばしいこと」と、活用を推し進める考えだ。(福山聡一郎)

(2018年8月10日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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