西武・中村が6戦連続アーチに挑戦 パ・リーグ記録に並び、超えられるか?

西武・中村剛也【写真:荒川祐史】

今季スロースタートも、故障明けの6月から右肩上がり

 西武の中村剛也は8月9日の敵地オリックス戦で、8回に2年目右腕の山本由伸から右越えに17号2ランを放ち、5試合連続本塁打を記録した。

 今季の中村は3、4月は打率.145、本塁打0と奮わず。4月21日のロッテ戦で三遊間のゴロを捕球しようとして左肩を負傷し、翌日に登録を抹消された。5月は全休して6月1日に1軍復帰。この時点では、まだ0本塁打だった。

 しかし、6月9日に今季初アーチをかけると同月は3本塁打、7月に入って8本塁打と調子を上げ、8月は9日までに5試合連続アーチを含む6本塁打と手が付けられない勢いとなっている。5試合連続本塁打は中村自身のキャリアハイだ。

【NPBの連続試合本塁打記録】

7試合連続 王貞治(巨人)1972.9.11広島戦-9.20阪神戦(9本塁打)
7試合連続 バース(阪神)1986.6.18ヤクルト戦-6.26巨人戦(7本塁打)
6試合連続 大杉勝男(日拓)1973.10.2ロッテ戦-10.9近鉄戦(6本塁打)
6試合連続 アルトマン(ロッテ)1974.6.13阪急戦-6.23日ハム戦(8本塁打)
6試合連続 土井正博(クラウン)1978.5.14日ハム戦-5.22ロッテ戦(7本塁打)※
6試合連続 デービス(近鉄)1985.8.2南海戦-8.8西武戦(6本塁打)
6試合連続 ランス(広島)1987.6.9大洋戦-6.16ヤクルト戦(8本塁打)
6試合連続 石嶺和彦(阪急)1987.9.2西武戦-9.10近鉄戦(6本塁打)
6試合連続 スチーブンス(近鉄)1995.4.7ロッテ戦-4.13オリックス戦(6本塁打)
6試合連続 カブレラ(西武)2003.9.9ロッテ戦-9.15オリックス戦(6本塁打)
6試合連続 阿部慎之助(巨人)2004.4.9ヤクルト戦-4.16ヤクルト戦(8本塁打)
6試合連続 松中信彦(ダイエー)2004.7.17近鉄戦-7.23ロッテ戦(7本塁打)
6試合連続 新井貴浩(広島)2005.6.22ヤクルト戦-6.28阪神戦(6本塁打)
6試合連続 ゲレーロ(中日)2017.5.28ヤクルト戦-6.3楽天戦(7本塁打)

※土井正博は1試合欠場をはさむ

リーグ屈指の中軸誇る西武で7番を打つ中村

 NPB記録とセ・リーグ記録は、王貞治とバースの7試合連続。バースはこの期間中に13試合連続打点のNPB記録も作っている。

 パ・リーグ記録は大杉勝男を含む8人が記録している6試合連続本塁打で、中村剛也はあと1試合でパ・リーグ記録に並ぶ。

 しかし、この記録は非常に難易度が高い。NPBでは断トツの868本塁打を打った王貞治でも、1972年に7試合連続本塁打を記録するまでは、5試合以上の連続本塁打は1970年に1度記録しただけ。本塁打者が絶好調になれば、相手投手は勝負を避けるようになるため好球が少なくなるのだ。

 2016年5月には当時日本ハムの大谷翔平も5試合連続本塁打を記録しているが、6試合目は3打数1安打1四球に終わった。

 今季の西武は3番・浅村栄斗(22本塁打、打率.311)、4番・山川穂高(29本塁打、打率.279)、5番・森友哉(13本塁打、打率.297)とリーグ屈指の強力な中軸を誇る。中村剛也は現時点では7番打者であり、規定打席にも達していない。各球団のマークはそれほど強くはないと言えそうだ。分厚い中軸との対戦を乗り越えた相手投手に、下位に座ったおかわり君が強烈な一発をお見舞いするというパターンができているのだ。

 西武は8月10日から敵地に乗り込み、後半戦好調な楽天との3連戦に臨む。中村はパ・リーグ記録、NPB記録にどこまで迫ることができるだろうか?(広尾晃 / Koh Hiroo)

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