7人制ラグビーW杯観戦で心に誓う│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート~for 2020~」#9

みなさん、こんにちは! 7人制ラグビーの寺田明日香と申します!

さて、私は7月20~22日にアメリカのサンフランシスコで行われた7人制ラグビーのW杯(ラグビーワールドカップセブンズ)を観戦してきました。

私が観戦できたのは21日だけでしたが、ラグビーを始めて約2年、会場で世界レベルの試合を観たのは、北九州で行われた昨年のワールドラグビーセブンズシリーズだけでした。2回目となる世界の強豪国が集う試合観戦では、前回よりも世界レベルを肌で感じることができた貴重な経験となりました。現地で感じたことを試合に限らず、さまざまな視点で書きたいと思います。今回も、お付き合いのほど、よろしくお願いします!

ラグビーなのに会場は野球場!?

まず、試合会場についてです。各競技のW杯の試合会場というと、競技専用に整備されている会場で行われる印象がありますが、なんと今回の会場はメジャーリーグ(野球)の名門チーム「サンフランシスコ・ジャイアンツ」の本拠地(AT&Tパーク)で行われていたのです。

内野の土の部分に芝が敷かれ、1塁側とレフトスタンド側にゴールポストが立てられ、ライト側~センター側にかけてはエリアが区切られており、ウォーミングアップエリアとして使用されていました。さすがメジャーリーグの球場、子どもたちが時間を潰せるように、すべり台やラグビー体験コーナーもありました(娘は、人生初トライを決めていました!)。

2019年に日本で行われるラグビーW杯(男子の15人制です)では、試合会場には札幌ドームを除き野球場は含まれていないため、とても斬新で、“サンフランシスコで一番良い会場でW杯を”という気持ちが伝わってきました。

試合は、午前中に女子の下位トーナメント、午後から男子のトーナメント、夕方から女子の上位トーナメントというスケジュールで行われました。午前中に行われた女子のトーナメントでは、観客の入りはまばらで、W杯としては少し寂しい印象。

しかし、男子のトーナメントが始まる頃には、約41,000席の大半が埋まるほどになっていました! 日本の男子のトップリーグ(15人制)の試合では、多くの観客が会場に足を運んで応援していますが、私たち女子の試合には、会場が埋まるほどの観客は入らないのが現状です。

今回のW杯でも、女子の上位トーナメントが残っているにも関わらず、男子のトーナメントが終わると会場を後にする観客が多く、ラグビーは世界的にみても圧倒的に女子よりも男子の方が、人気があるのだと感じました。

また、観客の方々のラグビー理解度が高いことにも少し驚きました。試合を見てのリアクションがとても早く、試合で何が起こっているかをほとんどの人が理解している様子だったのです。さらに会場に向かうときにも、日本が他の国の方からどう見えているのかを聞けてとても新鮮に感じました。

世界レベルのラグビーを肌で感じて

今回の日本の成績は男子が16位、女子は10位で、優勝した国は男女ともにニュージーランド。上位の国と下位の国とを見比べていると、上位の国はどの選手がボールを持ったとしても、ほぼ全員が前に出る力と技術を備えていて、下位のチームはキープレーヤーにボールが集まりがちになったり、ボールが停滞して相手チームに取られたりすることが多かったように思いました。

普段は、体のぶつかり合いや選手の息づかいなど、ラグビーならではの迫力を近くで見て、感じることが“ラグビーの魅力”です。でも、今回は選手の個々のポジショニングや走るコースの取り方、チームとしてどのようにフィールドを使って、どのくらいの距離のパスをどのようなタイミングで投げるのかなどを見たかったので、全体を見渡せる3階席から観戦しました。

やはり各国にキープレーヤーがいて、上位のチームはひとりがゲイン(=ボールを前に運ぶこと)した後、いつの間にかキープレーヤーにボールが渡っていて、ビッグゲイン(=より前に運ぶこと)やトライをしています。それぞれの選手のハンドリング技術の高さや、視野の広さなど個々の理解度と能力の高さがあるからこそ、チーム全体が高いレベルでプレーできているのだと思います。

私はまだ体験したことがないのですが、ラグビーやサッカーなどの広いフィールドで長くプレーしてきた選手からお話を聞いたときに、「調子が良いときは、上から見ているように自分の位置や相手の位置が把握できる」と仰っていたので、きっとそのような選手たちは、こんな風景がプレー中に見えているんだろうと、想像しながら観ました。

ニュージーランドやオーストラリア、フランス、アメリカなどの強い国は、両サイドタッチラインぎりぎりでポジショニングをするなど、フィールドを横幅いっぱいに広く使っていたことが印象に残っています。

ディフェンスをする側から考えると、横に広くポジショニングされると1人あたりの守備範囲が広くなるためディフェンスしにくくなりますし、アタック側から考えるとスペースが広くなります。

1人ひとり攻められるスペースが広くなって選択肢が増える分、正確かつ長い距離のパスを投げられるハンドリング能力がないと、ハンドリングエラーやボールを持って走っているプレーヤー(キャリア)が孤立してしまうことが考えられるので、基礎部分の水準をどれだけ上げられるかが、私にとって重要な鍵になるな~と感じながら観ていました。

いつの日か同じグラウンドで

今回、強豪国の選手を見て感じたことは、メンタルの強さと技術力の高さです。1人ひとりが自信をもって前に進んでいること、進んでからも簡単に倒されず、絡まれても前に進み続けること、そしてボールに対しての執着心の強さです。

ハンドリングやアジリティの基礎水準が高いこと(自分の身体の使い方、使いやすいポジションを理解していること)は、想像以上と言えるかもしれません。選手としては、当たり前のことばかりなのですが、やはりフィールドに立ったときに重要なのだと再確認させられました。

私は昨年負ったケガ(右足首骨折)のため試合経験数がかなり少ないのですが、そのなかでも一番の課題は、“すぐに倒されてしまう重心の高さ・軽さ”にあり、ハンドリングもまだまだな部分が多くあります。全力で走っているときの私は、速さと引き換えに重心を高く保って走っているため、急な衝撃に耐えきれず、その勢いでボールも吹っ飛ぶ、というミスをいまだに起こしてしまうことがあるのです。

私の持ち味であるスピードを活かすためには、ラグビーの根本的な基礎部分を急ピッチで習得し、さらに実践していかなければならないと考えています。また、いつの日か、スタンドから眺めた選手たちと戦えるようになるため、日々の練習をより密度の濃いものにして、ラグビーができる時間と身体づくりの時間を大切にしなければならないと心に誓った日にもなりました。

みなさんもスポーツの試合を生で見ることで、感動や気づきをもらえると思うので、ぜひ会場に足を運んでみてくださいね。

《プロフィール》

寺田明日香(てらだ・あすか)

1990年1月14日生まれ。北海道札幌市出身。血液型はO型。ディズニーとカリカリ梅が好き。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせてこちらも史上初となる3冠を達成。2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たす。2009年世界陸上ベルリン大会出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位だった。2010年にはアジア大会で5位に入賞するが、相次ぐケガで2013年に現役を引退。翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て女性アスリートの先駆者となるべく、「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年からは日本代表候補として活動している。日本ではほぼ類をみない「世界レベル選手の競技転向、同一シーズン間の競技転向、幼児を子に持つママアスリート」として、2020年東京オリンピックを目指す。

◎所属企業:株式会社リブラン

◎所属チーム:千葉ペガサス

◎主な記録:100mハードル日本ジュニア記録(13秒05=2009年世界ジュニアランキング1位)/100mハードル日本高校記録(13秒39)

《今後の活動予定》

・9/8(土)・9(日)【出場予定】太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ第3戦@静岡・裾野市運動公園陸上競技場

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・10/13(土)・14(日)【出場予定】太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ第4戦@三重・三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 サッカー・ラグビー場

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<Text&Photo:寺田明日香/Edit:アート・サプライ>

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