「夏の厄介者」姿消す 上江津湖、外来植物が大幅減

2016年10月撮影の上江津湖。湖面をオオカナダモなどの外来種植物が覆い尽くしている(山内稔さん提供)
オオカナダモなどの外来植物がなくなった今夏の上江津湖=10日、熊本市

 熊本市の上江津湖で、湖面を覆い尽くしていた外来植物オオカナダモが姿を消している。生態系に悪影響を与えるとして除去を続けてきた成果に加え、専門家は川から流れ込むヘドロも一因と指摘。“夏の厄介者”と疎まれていたとはいえ、急激な変化に市民に驚きも広がっている。

 オオカナダモは南米原産。湖底に根を張り、春から秋にかけて繁茂する。江津湖の環境を調査している「江津湖研究会」によると大正時代から見られるようになり、在来種のヒラモやササバモなどの生育に打撃を与えたという。

 湖を管理する水前寺江津湖公園サービスセンターは年間約280日、同じく外来植物のウオーターレタスやブラジルチドメグサなどと共に除去してきた。例年夏は、湖面を覆うオオカナダモの除去に追われるが「今夏、水面にはほとんど見られない。昨春から徐々に減っていき、昨秋が一番少なかった」。

 長年、江津湖の環境を研究してきた椛田聖孝・熊本大特任教授(67)=生物資源科学=は「堆積したヘドロが湖底に根を張ったオオカナダモの許容量を超えたのかもしれない。茎が覆われて光合成の日照が不足し、繁殖力が弱まったのではないか」とみる。

 「湖には火山灰や落ち葉、虫の死骸、生活ごみなどが流れ込む。江津湖に沈殿しているヘドロの深さは平均約2メートル。今も1年2ミリ以上のペースで堆積し続けている」と指摘。江津湖の水温は年間を通して約19度。熊本地震による目立った水質の変化も見られず、護岸の復旧工事の影響も考えにくいと話す。

 ボートハウスを運営する江津湖貸舟協同組合の宮本龍一さん(66)は「ボートをつなぐ桟橋の周辺に生えたオオカナダモを刈り取ることもなくなった。お客さんから『江津湖がきれいになったね』と声を掛けられます」。よく散策に訪れるという山内稔さん(71)=東区月出=は「外来植物がなくなったのはいいことだと思うが、水草を使って巣を作る野鳥カイツブリも見なくなった」と変化に戸惑う。

 湖面から姿を消したオオカナダモだが、「水面下では春ごろから増えつつある」と同センター。椛田教授は「成長力の弱まっている今がチャンス。オオカナダモごとヘドロを浚渫[しゅんせつ]し、在来種を移植すれば、江津湖本来の生態系を取り戻せるのではないか」と話している。(木村恭士)

©株式会社熊本日日新聞社

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