しずかせんせい見守って 園児、保護者ら精霊船手作り

 「しずかせんせい、ありがとう」-。長崎県西彼長与町吉無田郷のあじさい保育園(宮田豊園長、98人)の園児や保護者、職員らが5月に64歳で亡くなった同園の主任保育士、龍石静さん=長崎市=のみ霊を、手作りの精霊船で送り出す。園名にもなっているアジサイを、船のデザインに取り入れた。
 龍石さんは2003年の同園発足からのスタッフだった。園児だけでなく、保護者や同僚らの相談にも乗るみんなの“お母さん”。年長クラスの女児も「先生の笑顔はヒマワリみたいだった」と振り返る。「とにかく優しい。でも礼儀などには厳しさがあった」と同僚の信頼も厚かった。
 龍石さんは約3年前に体調を崩した後、治療を受けながら仕事を続けていた。しかし、3月の卒園式では声を出すことが難しくなった。卒園児の名を読み上げられず「きちんと送り出すことができなかった」と悔やんでいたという。
 精霊船は遺族と園が力を合わせて出す。船のデザインは、龍石さんのおいで同園保育士の山崎康平さん(37)。園児や保護者に、卒園した小中高生も加わり、6月からアジサイを折り紙で作ったり「天国から見守って」などと短冊にメッセージを書いたりした。今月上旬には遺族が絵付けした灯ろうなどと一緒に、園児らの飾りも船に付け、色付けもして仕上げた。
 宮田園長は「(龍石先生は)きっと喜んでくれている。子どもたちには先生からもらった愛情を心に留めていてほしい」と話し、空を見上げた。

折り紙で作ったアジサイの屋根を精霊船に載せる園児や職員=8月2日、あじさい保育園
園児らと写真に収まる龍石さん=2012年3月(同園提供)

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