【野球U-15W杯】侍U-15代表、初の世界一へ白星発進 豪州に快勝、清水隆行監督「選手に感謝」

侍ジャパU-15代表を指揮する清水監督【写真:福岡吉央】

パナマで開幕、全員野球で重要な初戦に勝利

 野球の15歳以下の世界一を決める「第4回WBSC U-15ワールドカップ」が10日(日本時間11日)、パナマで開幕した。初優勝を狙う日本はオープニングラウンドB組に入り、初戦でオーストラリアと対戦。4-2で勝利を収め、白星スタートを切った。

 気温が30度を越え、小雨が降る蒸し暑い気候の中、全員野球でつかんだ勝利だった。初回、先頭の花田旭外野手(西淀ボーイズ)が左前打で出塁すると、二塁を守る2番・福原聖矢捕手(安仁屋ヤングスピリッツ)が犠打で送り、2死三塁から左翼を守る4番の主将・池田陵真捕手(忠岡ボーイズ)が右越え適時二塁打。欲しかった先制点を奪うと、5回にも足や小技を絡めた日本らしい攻撃で3点を追加した。

 先頭の坂玲哉捕手(湖南ボーイズ)が左前打を放ち、続く齋藤広空内野手(京葉ボーイズ)が犠打を決めてチャンスを広げると、指名打者の9番・杉下海生内野手(泉佐野リトルシニア)が中前適時打。2点目を奪うと、1番・花田も中前打で続き、相手の守備の隙をついて1死二、三塁のチャンスを作り、2番・福原の遊ゴロが相手の野選を誘って3点目を追加。さらに3番・内山陽斗内野手(羽曳野ボーイズ)も中堅への犠飛で続き、この回一挙3得点。小技と積極走塁を交じえ、完全に試合の流れをつかんだ。

 一方、投手陣もオーストラリア打線を4安打2失点に抑える好投を見せた。先発を任されたのは畔柳亨丞投手(SASUKE名古屋ヤング)。初回こそ先頭打者に四球を与えたが、その後は落ち着いた投球。球数制限の関係もあり、4回途中で降板したが、6奪三振、被安打1の好投だった。続く左腕の金井慎之介投手(東京城南ボーイズ)も6回までを無失点リレー。最終回の7回には清田蒼陽投手(新城ボーイズ)が2四球を与え、急遽、藤森粋七丞投手(青森山田リトルシニア)がマウンドに上がったが、オーストラリア打線の反撃を2失点に抑えた。

先制打の池田は「まだまだ始まったばかり」、トラブルも乗り越えての勝利に

 清水隆行監督は「緊張感は当然あったと思うが、先制点が大きかったし、犠打、走塁もしっかりやってくれた。投手も全員でいい試合をしてくれた。粘り強く戦ってくれた選手に感謝しています」と、初戦白星に安堵の表情。明日11日(日本時間12日)はオランダ戦で「(初戦の勝利は)当然大きい。独特の緊張感の中でスタートしたが、明日以降はまた違った精神状態で入れると思う。全員で1点を取って、1点を守ってという形で試合に入っていきたい」と話した。

 主将で先制打を放った池田は「投手の畔柳に何とか楽になってほしいと思っていた。とにかく先制点が欲しい場面だったので、1本出せてよかった。国際大会になると外のストライクゾーンが結構広くなるので、(日本では)ボール球でも(海外では)ストライクと言われる。だから外を狙い撃ちのような感じで打ちました」と笑顔。「僕たちも相手のことは知らないが、相手も僕たちのことは知らないと思うので、自分たちの野球をしっかり見せていこうと思っていた」といい「まずは1勝できて嬉しい。ただ、まだまだ始まったばかり。強い相手が続くので、気を抜かず、きっちり一戦必勝で頑張りたい」と、気を引き締めた。

 トラブルを乗り越えての勝利でもあった。チームは時差ぼけ対策や現地の環境に慣れるため、どの出場国よりも早く6日(同7日)にパナマ入りしたが、アメリカからパナマに向かう便でロストバゲージに遭い、ヘルメットとトレーナーのマッサージ用ベッドが現地に届いたのは試合前日の練習中。それまで選手たちは走塁コーチ用のヘルメットで打撃練習を行うなど、不便な中での準備を強いられたが、慣れない環境にも文句を言わず、一致団結して勝利をもぎ取った。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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