全小中校にエアコン設置へ 長崎市と西海市 猛暑受け、他自治体も検討 猛暑受け、他自治体も検討

 長崎県内の小中学校のエアコン設置率が全国平均を大きく下回っている中、長崎市と西海市は10日、それぞれ市立小中学校の全普通教室にエアコンを設置する考えを示した。今夏の記録的な猛暑を受け、設置を検討する長崎県内の自治体も出ている。

 長崎市の田上富久市長は長崎市議会正副議長らの申し入れに対し、「基本的にはエアコンを設置する方針。早急に進めるが、少なくとも2年程度を要する」と回答した。

 長崎市教委はこれまで設置に消極的だったが、文部科学省が今年4月、教室内の適温基準を「10度以上、30度以下」から「17度以上、28度以下」に改正したのを受けて調査。7月9~20日に全小中学校計107校で温度を計った結果、28度を超えた教室の割合が95%超に上った。

 長崎市教委によると、小中学校の全普通教室と一部の特別教室の計1447教室を対象に設置を検討し、費用は約43億円の見通し。2020年度の設置完了をめどに進めるという。

 西海市の杉澤泰彦市長は市議会全員協議会で、20年度までに設置する方針を明らかにした。9月補正予算案に、空調設備の実施設計業務委託費として約2300万円を計上する。

 西海市教委によると、市立小中学校計17校で普通教室は計120室。これまで扇風機を整備していたが、今夏の猛暑を受けて方針転換した。国の学校施設環境改善交付金など補助金が活用できないか検討する。

 長崎県内公立小中学校の普通教室における17年の設置率は8・6%で、全国平均49・6%に比べてかなり低い。長崎市は3・3%、西海市は1・7%。一方、島原市は100%を達成。南島原市は全中学校に設置済みで、本年度中に小学校全17校のうち15校で設置を終える予定だ。大村市も本年度中に全中学校に設置する。

 長崎新聞は各市町の教育委員会に取材。佐世保市は「設置に向けて検討中」、東彼杵町は「早めの設置を検討する」と回答した。諫早市、雲仙市は設置するかどうか調査中。今後検討したいとする自治体もみられた一方、必要性を感じていても財政的理由で設置が難しいとする意見も多かった。

 長崎県教委教育環境整備課は「県独自の補助制度を導入する考えはない。各自治体で主体的に行うものと考えており、国の補助制度の周知を引き続き図っていく」としている。

© 株式会社長崎新聞社