チャールズ皇太子と最後の英国総督のステキな関係

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第461回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、8月11日から公開の『英国総督 最後の夜』を掘り起こします。

インド人監督が祖先のルーツをたどった人間ドラマ

1947年、第二次世界大戦で国力が疲弊したイギリスは、植民地インドを返還することを決定。その主権譲渡のため任命されインドへと渡った新総督ルイス・マウントバッテン卿のことをご存知でしょうか。

『英国総督 最後の夜』は独立前夜のインドを舞台に、激動する歴史に運命を翻弄された人々の姿を描いたヒューマンドラマ。実は、本作の誕生には奇跡とも呼べるようなドラマがあったのです。

メガホンを取ったのは、ケニア生まれイギリス育ちのインド人監督グリンダ・チャーダ。彼女はあるチャリティ・パーティーでマウントバッテン卿の大甥にあたるチャールズ皇太子と会った際、大叔父様についての映画を企画中だということを告白。

するとチャールズ皇太子から、マウントバッテン卿の個人秘書が書いた一冊の書籍を薦められました。そしてその数日後、さらなる出来事が。チャーダ監督のもとを訪れた若い俳優が、なんとチャールズ皇太子推薦書籍の著者、ナレーンダル・スィンフの息子。なんでも、チャーダ監督がインドの分離独立に関する映画の企画を進行していることを知り、父の著作を読んでほしいと訪れたのだとか。

チャールズ皇太子とひとりの若い俳優、偶然にして同じ本を勧められたチャーダ監督。インド独立劇は自身の祖父母が体験した史実でもあり、チャーダ監督にとっては大切なファミリー・ヒストリーのひとつ。奇妙な偶然が重なって、本作は完成したのです。

マウントバッテン卿はヴィクトリア女王の曾孫で、エリザベス女王にフィリップ殿下を紹介したことでも知られる、イギリス王室においてはとても重要な人物。ことにチャールズ皇太子がマウントバッテン卿のことを尊敬していることは有名で、チャールズ皇太子の息子ウィリアム王子のミドルネームにマウントバッテン卿のファーストネームから“ルイ”と名付けたほど。

そしてウィリアム王子も、キャサリン妃との間に生まれた第3子に“ルイ”と名付けたことからも、マウントバッテン卿が現在のロイヤルファミリーに大きな影響を与えていることが分かるでしょう。

英国のインド返還の一方で、信仰の違いから起こったインド分断。この歴史的な出来事と最後まで諦めずに向き合ったマウントバッテン卿の真実のドラマに、是非、注目して。

英国総督 最後の家
2018年8月11日から新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:グリンダ・チャ―ダ
出演:ヒュー・ボネヴィル、ジリアン・アンダーソン、マニーシュ・ダヤール、フマー・クレイシー、マイケル・ガンボン ほか
©PATHE PRODUCTIONS LIMITED, RELIANCE BIG ENTERTAINMENT(US) INC., BRITISH BROADCASTING CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND BEND IT FILMS LIMITED, 2016
公式サイト http://eikokusotoku.jp/

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