世界遺産を巡る 平戸クルーズ船12日就航

 世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産「平戸の聖地と集落」の一つ、中江ノ島などを巡るクルーズ船の12日就航を前に、運営する長崎県平戸市生月町の関係者らがこのほど試験運航に臨んだ。

 世界遺産登録を生月の活性化につなげようと、同町で介護事業所などを展開するいなほグループ(塚本雅英社長)と農事組合法人アグリアクティブ生月(神田恵美子代表理事)が共同で就航。クルーズ船は「オーロ・イキツキ・サリー号」(8・58トン)。イタリア語で「黄金のように生月の価値を上げる」という意味。

 試験運航には12人が参加。キリスト教が禁じられた江戸時代にキリシタンが処刑された殉教地、中江ノ島では、同町の元触・辻地区の元かくれキリシタン、谷山久己さん(67)から、岩の裂け目から染み出す「お水」と呼ばれる聖水を採取する「お水取り」の儀式の説明を受けた。谷山さんは今後の安全を願い、島を前にオラショ(祈り)も唱えた。船上からは同じ構成資産の春日集落にある棚田の眺望も楽しんだ。

航海の安全を願い島に向かってオラショをささげる谷山さん

 クルーズは同町の舘浦漁港発着。通常は予約貸し切り制で定員12人。12、26日が乗り合い運航で午前9時、午後3時、同4時半出港。料金は大人2300円、小中学生1100円で、未就学児無料。予約、問い合わせは平戸観光協会(電0950・23・8600)。

谷山さん(右後方)の解説に耳を傾ける参加者=平戸市沖

© 株式会社長崎新聞社