新幹線長崎ルート 「JRに強く要求」貸付料の十分な確保で 山本与党検討委員長 中村知事と面談

 九州新幹線長崎ルートの新鳥栖-武雄温泉の整備方式の検討を全線フル規格かミニ新幹線に絞った与党検討委員会の山本幸三委員長は11日、全線フルを目指す長崎県が建設財源のうちJR側負担の施設使用料(貸付料)の十分な確保を望む点について「JRには最大限の協力をしてもらわなければ困るので、かなり強く要求している」と述べた。

 長崎県庁で中村法道・長崎県知事と非公開で面談し、検討作業への協力を求めた後、報道陣の取材に答えた。

 整備新幹線の建設費は貸付料を充て、残りを国が3分の2、地元自治体が3分の1ずつ負担する。貸付料はJR側が法令に基づき開業から30年間支払う仕組み。県はその額について国の試算を基に「30年間で2640億円」になる可能性を重視している。

 山本氏は7月下旬にJR九州を訪問した。「JRも『早く整備してもらいたい』とのお願いと同時に、検討に『最大限努力したい』と言っている」とした。

 中村法道・長崎県知事は報道陣に対し、山本氏に国による主体的な財源検討を求め、貸付料の十分な確保に向け「JR九州の理解を早急に得てほしい」と伝えたと説明。佐賀県の負担軽減のため長崎県が負担増を受け入れるかは「単なる負担の肩代わりであれば県民に説明がつかない」と否定的だったが「国、JRがしっかり協力していただく前提で、なおかつ長崎県に協力が求められればその段階で検討を進めなければ」と語った。

 一方、北陸新幹線は2023年春の金沢-敦賀開業後、すぐに敦賀以西の着工を目指す動きがあり、中村知事は「西九州(長崎)ルートだけ取り残されるようなことはあってはならない」と強調。山本氏も敦賀以西の着工に新鳥栖-武雄温泉の着工が「遅れないようにしたい」と述べた。

 整備方式を巡っては、全線フルを求める長崎県に対し、佐賀県は新たな財政負担増に難色を示している。

中村知事に整備方式の検討作業への協力を求める文書を手渡す山本委員長(右)=県庁

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