真夏の車内 乳幼児危険 長崎県内で死亡例 熱中症、エアコン中にも発生

 連日、気温35度以上の猛暑日となっている長崎県内。今年4月30日~8月5日、熱中症により救急搬送された人数は769人(8月10日現在、速報値)と同時期で過去最多を更新した。このうち乳幼児は10人と昨年(5人)の2倍に上っている。外出の機会が増える盆には特に注意が必要だ。

 

 搬送された6市町の乳幼児10人のうち、車内で発生した事案が6人と最も多かった。8月3日、東彼波佐見町では、停車中の車内にいた1歳女児が熱中症により死亡。捜査関係者によると、家族が女児を車から降ろすのを忘れ、エンジンを切った車内に女児は約5時間放置されていたという。

 西彼長与町では6月25日午前10時ごろ、2歳男児が車内に20~30分ほど閉じ込められ、短期入院が必要な中等症になった。母親が鍵を車内に置いたまま外に出た後、誤ってロックしてしまったという。佐世保、島原、大村の3市でも同様の事案が起き軽症になっている。

 日本自動車連盟(JAF)が実施した実験によると、真夏の炎天下で閉めきった車内ではエアコン停止からわずか15分で熱中症指数が危険レベルに到達したという。短時間でも車内に子どもを残すことが危険だと分かる。

 一方、エアコンが効いた車内でも熱中症は発生している。雲仙市で7月24日午後4時ごろ、5歳男児がエアコンの効いた車に1時間半ほど乗っていたところ、具合が悪くなったとして搬送され、中等症と診断された。このほか自宅や海水浴場、屋外をベビーカーで散歩中の乳幼児が計4人搬送されている。いずれも軽症だった。

 長崎大学病院小児科の岡田雅彦准教授は、子どもは体の割に体表面積が広いため「温まりやすく、冷めやすい」と特徴を話す。汗腺も発達していないため、体内の熱を汗で逃がしにくく、同じ環境でも大人より子どもの方が熱中症になりやすいという。

 特に注意が必要なのは車の中。「窓からの日照りがあり、風通しが悪い上に汗もかきにくい。エアコンで気温を低くしていればいいと思うのは危険」と指摘する。一番大事なのは「親が近くで子どもを見ておくこと」として、「顔が赤くなったり、元気がなくなったりという変化に早めに気付き、涼しい場所に移動させるなど適切な対処をしてほしい」とアドバイスする。

 


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