石破茂氏、安倍氏再任への挑戦者

 【新華社北京8月12日】日本の自民党の石破茂元幹事長は10日、9月に行われる党総裁選挙への出馬を正式に表明した。党内の他の実力者たちが続々と出馬を見送るなかで、61歳の石破氏が再任を目指す安倍晋三首相への唯一の挑戦者となる可能性が高い。

 現在の党内情勢を見ると、石破氏が安倍氏に勝つ可能性は低い。石破氏は党内ではかねてより「異端」視されており「其の不可なることを知りて而もこれを為す」という言葉はまさにその風格に合致する。しかし、石破氏の出馬は、安倍氏の政治に嫌気が差している一部の民意に不満のはけ口をもたらしている。

 ▽6年前には安倍氏に惜敗

 石破氏は1957年2月生まれ。1986年に国会議員に初当選し、当時日本で最年少の国会議員となった。その後当選を重ね、2002年には防衛庁長官として初入閣し、以後防衛大臣、農林水産大臣、国家戦略特区担当大臣、地方創生担当大臣などの職務を歴任してきた。

 石破氏はこれまで、自民党総裁選に2度出馬している。1回目は2008年に当時の福田康夫首相の辞職後に行われた総裁選で、5人の候補者中最も少ない得票数で敗れた。

 2012年9月の総裁選に再度出馬した石破氏は、1回目の投票で地方党員票の大きな支持を得て5人の候補者中トップに立ったが過半数獲得には至らなかったため、再起を期する安倍氏との2回目の投票に入った。国会議員の投票で決まる2回目の投票では、強い支持基盤を持つ安倍氏の前に敗れた。その年の12月の衆議院議員選挙では自民党が与党・民主党を破り政権を奪還、安倍氏も首相に返り咲いた。

 ▽安倍氏絶頂期には蟄居状態

 自民党総裁の椅子は逃したが、石破氏は2012年の総裁選でその実力を十分に発揮した。総裁選後、安倍首相は石破氏を党幹事長に任命し、地方の党組織の不満を静めた。ただ、安倍氏と石破氏の「ライバル意識」は終始解消することはなく、安倍氏は2014年の内閣改造で石破氏を入閣させることで党幹事長の要職から遠ざけた。

 2015年9月の党総裁選では、極めて高い政権支持率を背景に党内での地位を盤石にした安倍氏に対し、多くの実力者が立候補を断念した。地方創生担当大臣だった石破氏も一度は出馬の意向を示したが、最終的には「安倍政権の支持率が高い時に出馬しても意味がない」との認識に至り、安倍氏が無投票で再任された。

 安倍氏が総裁再任を決めた月、石破氏は党内に自らの派閥「水月会」を立ち上げた。一般的には「石破派」と呼ばれ、約20人の国会議員を擁したが、党内では小派閥に甘んじた。旗揚げ式で石破氏は「私が政権を握るにふさわしいとみなさんが思うのであれば、私は全力で取り組む」と首相の座への渇望を隠さなかった。

 安倍氏は2017年2月以降、自身や周囲が関わる森友学園や加計学園などのスキャンダルにより支持率が低下の一途をたどり、この状況が石破氏にチャンスを見出させた。

 ▽安倍氏を阻むのは簡単ではない

 とはいえ安倍氏は依然党内の主導権を握っている。岸田文雄氏と麻生太郎氏はすでに安倍氏の総裁再任を支持する姿勢を明確にしている。立候補の意志を持つ野田聖子総務大臣は党内の推薦人集めが難しく、出馬の可能性は高くない。9月の総裁選は基本的に安倍氏と石破氏の対決となるだろう。

 党内7派閥のうち、5つの派閥がすでに安倍氏支持を表明している。石破氏を支持するのは「石破派」の議員以外に「竹下派」の一部国会議員のみ。試算によれば、これらを合わせてもわずか40票あまりで、405票ある国会議員票の10分の1にすぎない。「(国会議員の)数こそ力」という党内にあって石破氏の勝利は果てしなく遠い状況だ。

 ただ、石破氏も自身の強みを持っている。安倍氏らと比べて、何のスキャンダルもなく、党の地方組織での人気は相変わらず高い。石破氏は「正直、公正、石破茂」のキャッチフレーズを打ち出し、国民の政治への信用が損なわれているとの声を上げ、「謙虚で正直で国民の思いに近い政治」の回復と「政治・行政の信頼回復100日プラン」の実行を掲げた。日本のメディアは、国会議員票で安倍氏に大きく劣るなか、石破氏は政策上の違いを際だたせることで、より多くの地方の支持を取り付ける狙いだと評している。

 石破氏は出馬表明会見で「過去の遺産にすがり、次の時代に負担を先送りするような政治であってはならない。日本の設計図を書換えなければならない。そのためには政治が国民に対し誠実で、謙虚で、正直に、勇気を持って真実を語る姿勢が必要だ。国民が政治の語りかけに対し、納得、共感、信頼を寄せなければ実現はできない」と語った。

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