東根市長選~課題検証(上)人口対策 人口増も地域間格差

 任期満了に伴う東根市長選は19日に告示(26日投開票)される。立候補を表明しているのは6期目を目指す現職の土田正剛氏(74)=大林1丁目=のみで、無投票の可能性が高まっている。人口が増え続け、「勢いと元気のあるまち」と称される東根は、全国的に少子高齢化が深刻さを増す中で異彩を放っている。持続的な発展に向け、市の現状と課題を検証する。(東根支社・須藤仁) 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が今春に公表した将来推計人口によると、東根市の人口は2030年で4万7885人。県内で唯一、国勢調査のあった15年(4万7768人)を上回るとの見通しが示された。地方自治体の多くは人口減少に歯止めがかからない状況の中、市の「勢い」を如実に表している。

 国勢調査による市の人口は1975(昭和50)年で増加に転じて以降、右肩上がりで推移している。底となる1970年(3万9113人)から直近の2015年までの45年間で8655人増えた。

 背景には大森工業団地をはじめとした就労の場の確保はもちろん、土地区画整理事業や大型店誘致などが挙げられる。機能を集約したコンパクトなまちづくりに加え、屋内遊戯施設や屋外の子どもの遊び場整備、子どもの医療費無料化など、子育て支援の先駆的な取り組みが若い世帯を呼び込む力となり、人口規模の土台となっている。

 市外からの転入世帯が対象の定住促進事業助成金制度の利用状況からも人口増の一端がうかがえる。制度が始まった12年度からの6カ年で525件の利用があり、転入者は1557人を数える。周辺自治体だけでなく、仙台圏など県外からの転入も目立っている。

 近年は中心部に県内初の併設型中高一貫校・東桜学館が開校し、図書館や美術館などが入るまなびあテラスも開館。街中はにぎわいを増し、宅地の造成・分譲が活発化している。

 ただ人口が増えることは住民ニーズの多様化につながる。福祉などのソフト面で行政の役割は重要度を増している。

 中心部で都市機能が高まる一方、周辺部では人口減少の顕著な地区が多く、地域間格差が課題の一つに挙げられる。全人口のうち、7割近くを占める東根、神町の両地区には、市外からの移住だけでなく、市周辺部から流入するケースも多い。地域コミュニティーの維持に関わる問題だけに、均衡ある発展に向けて市と周辺部の住民との協働は欠かせない。

 県境に位置する高崎地区の40代男性は「中心部でハード整備が相次ぐ一方、周辺部は生活インフラが不十分な地域もある」と指摘。生活に不便を感じるからこそ、特に若い世帯は身近で便利な中心部に流れてしまうといい、「政策的にもっと周辺部に目を向けてほしい」と訴える。

 人口が増え続ける東根市だが、11年からは出生者数が死亡者数を下回る状況が続いている。社人研の試算では人口は20年の4万8345人をピークに緩やかな下降トレンドに入るとされている。少子高齢化の波は着実に押し寄せており、各地域の実情に応じた施策が求められる。

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