土木情報分析「自分の役目」 辺野古の軟弱地盤指摘 北上田毅さん

 翁長雄志知事は名護市辺野古の新基地建設に伴う辺野古沿岸埋め立て承認を撤回する方針を表明した際、重要根拠の一つに軟弱地盤を挙げた。「マヨネーズ並み」とも言われる地盤の上に基地を造ろうとしている問題は土木技術者の北上田毅さんらの情報公開請求で発覚した。沖縄防衛局が開示した文書を分析し、軟弱地盤の存在を明らかにした北上田さんに話を聞いた。

 北上田さんは京都大学で土木工学を学び、土木技術者として京都府内の役所に就職した。役所に勤務する傍ら京都君が代訴訟や市民オンブズマン運動などに参加した経験が市民運動との関わりの原点だ。

 「沖縄で暮らしたい」との思いから2008年5月ごろに家族で沖縄に移り住んだ。11年12月下旬、沖縄防衛局が辺野古の環境影響評価書を県に提出するのを阻止しようと、市民らと共に県庁で座り込んだ。「座り込んでいると市民の方々から差し入れがあるなどして、沖縄は抗議活動の中にも温かさがあると感じた」と話す。それをきっかけに、本格的に沖縄の市民運動に関わるようになる。

 抗議行動の現場では、沖縄戦を体験した世代の反基地、反戦の思いの深さに触れることがある。米軍普天間飛行場へのオスプレイ配備反対運動では「集団自決」(強制集団死)から逃れた経験を持つ座間味島出身の女性と出会い、反戦の思いを聞いた。「戦争体験者の話を聞けるのはそう長くない。沖縄の歴史の重要なところに立ち合っていると感じる。戦争体験者たちの思いを共有したい」

 14年からは辺野古で抗議船の船長も務めた。海から工事の進捗(しんちょく)状況を見て防衛局の文書と照合し、施行順序の変更や埋め立て承認願書にない工事をしている現場を監視した。

 埋め立て承認撤回を後押しした軟弱地盤は、活断層の問題を追及する一環で、情報公開請求をした時に発見した。「地盤の強さを示すN値が0だというのを見た時はとても驚いた」と当時の思いを振り返った。土木の知識があるからこそ読み取れる情報がある。「土木技術者として入手した情報を分析し、分かりやすく問題点を伝えるのが自分の役目」と市民運動に参加する自分の位置付けを語った。

(嶋岡すみれ)

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