被爆バイオリン 澄んだ音色で聴衆魅了 長崎平和音楽祭

 第33回長崎平和音楽祭(実行委主催)が11日、長崎県長崎市内であり、広島で被爆したバイオリンを活水高音楽コースの生徒が演奏。澄んだ音色で聴衆約500人を魅了した。

 長崎市内で開催中の「長崎平和アートプロジェクト(ナヘア)」の一環。被爆バイオリンは、3年前に諫早市で演奏されたが長崎市では初めて。広島で被爆したロシア人、故セルゲイ・A・パルチコフ氏の遺品で、広島女学院歴史資料館が所蔵している。

 音楽祭は3部構成。第1部で活水高の生徒3人が、被爆バイオリンにピアノ、ソプラノを加えるなどして「アメージング・グレイス」など数曲を披露。バイオリンを演奏した3年の山口彩乃さん(17)は「出演が決まって原爆について勉強した。平和への願いを強く込めて弾けた」と話した。

 第2部は、戦後、城山小で被爆児童らを中心に編成された「原爆学級」を題材にした朗読劇「原爆学級レクイエム」を、劇団TABIHAKU(同市)と市民合唱団が初上演。熱のこもった演技や歌で被爆の恐ろしさを伝えた。原爆学級に在籍した同市の内野節雄さん(74)は鑑賞後、「原爆の影響で同じ学級の親友を亡くすなど、いい思い出はない。平和を語り継ぐことは大切」と述べた。

 第3部は、浦上天主堂の被爆マリア像をモチーフにした歌曲「被爆のマリア」を、ソプラノ歌手の松口ようこさんらが上演した。

広島で被爆したバイオリンを演奏する山口さん(右)=長崎市平野町、市平和会館ホール

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