マツダの展示は今年も充実!マニアも唸る“アノ車”を持ってきた!【オートモビルカウンシル 2018】

マツダブース

マツダは「MAZDA COMPACT HATCHBACK STORY」をテーマに

オートモビルカウンシル2018は、国内外の自動車メーカーも出展するため、それぞれのメーカーのヘリテージに対する思い入れが見られて興味深い。その中の1社マツダは、昨年「ロータリーエンジン50周年」をテーマに希少なモデルや滅多に見ることができないエンジンの実物資料を持ってくるなど、本気度が高いブース作りが注目された。

マツダ KAI CONCEPT

今年は、マツダのクルマ販売の中核をなすコンパクトハッチバックにスポットを当て、懐かしの5代目ファミリアから2006年のマツダスピードアクセラ、そして次期アクセラの息吹を感じさせるコンセプトカーで昨年の東京モーターショーでも姿を見せた魁 CONCEPT(カイ コンセプト)などを展示。しかも、“まさかのクルマ”まで見ることができて、今年もマツダは一味も二味も違うセンスと本気度を示していた。

フォトギャラリー>>マツダブースに登場した懐かしの名車を画像でチェック!

「赤いファミリア」に刺さりまくり

マツダ ファミリア(5代目)

まず目に飛び込んできたのが、5代目ファミリアだ。マツダの1リッター級ファミリーカーとして1963年に登場した初代ファミリアは、4代目(FA4型)で1.5BOXスタイルのテールゲートがついたハッチバックボディを得た。これは欧州でVW ゴルフを始めとしたハッチバック車の隆盛に合わせたものだったが、駆動方式は後輪駆動のままだった。

マツダ ファミリア(5代目)
マツダ ファミリア(5代目)

そこで、1980年に登場した5代目(BD型)ではついに横置きエンジンの前輪駆動を採用。シャープなデザインと大きな窓が生む軽快なスタイル、前輪駆動による広い室内などから大ヒット。サーフボードを種上に積むが実際にサーフィンはしないという陸(おか)サーファー御用達のクルマにもなった。

ラウンジソファのような印象を持たせるリアシート、フルフラットになる助手席も特徴で、今回の展示では助手席が倒された状態になっていて、筆者のようなマニア型ファンをもニヤリとさせるのはさすがマツダだ。しかも来ていたのは電動サンルーフがつく最上級モデルの「XG」、しかもボディカラーも赤で、「赤ファミリア」「赤いXG」という当時の愛称そのものだったことも嬉しかった。

フィンランドから持ち込まれた323のラリー車、そして“アノ車”にびっくり

マツダ 323(ラリーレース仕様)

5代目ファミリアの奥には、1980~90年代のモータースポーツ好きには懐かしいグループAの323 4WD 1600(ラリーカー)がいた。323とはファミリアの欧州名である。

6台目ファミリア(BF型)世代ではマツダは積極的にWRC(世界ラリー選手権)に出場。1987年のスウェディッシュラリーでは日本車初の優勝を飾るなど大活躍した。

会場に来た323は91年のモンテカルロラリーにフィンランドの女性ラリードライバー、ミーナ・シランコーヴァ氏がドライブして出場した個体で、しかも同氏が自らフィンランドで保管していたものを特別に日本まで運んできたのだという。

マツダ ランティス
マツダ ランティス

驚きはまだまだ続く。5代目ファミリアの隣にはランティスが!ランティスとはマツダが1993年から1997年まで製造していた1.8~2リッターエンジンを積んだ5ドアハッチバック/4ドアセダンで、クラス的にはファミリアとカペラの間くらいに位置した。

ファミリアには7代目(BG型)にアスティナというスタイリッシュな5ドアハッチバックが存在(兄弟車にはユーノス100というのもあった)したため、ランティスの5ドアハッチバックは実質的にはその後継モデルの意味合いもあった。

マツダではランティス5ドアハッチバックを4ドアクーペと称したが、確かにハッチバックにしてはグリルレスで尖ったノーズ、流麗なルーフラインは、まるでクーペのようなスタイルを持っていた。ランティスは2リッターエンジンがV6だったことも大きなトピックだった。展示車はまさにそのエンジンを積んだ「タイプR」である。

カタログやスケッチまで展示。今年もマツダは本気だった!

マツダブース

その他ファミリアのカタログや、5代目ファミリアの本物のデザインスケッチまで展示していたマツダ。解説員も多く、オートモビルカウンシルへの強い意気込みに圧倒された。

先ほどのランティスの展示には本当に驚かされた。というのも、実際にはランティスは1世代限りで終わり、販売台数も決して多くなかったモデルなのだ。ファンには名車として知られるものの、一般的には認知度が低い。

そのランティスをわずか数台に限られる展示車に選ぶあたりに、マツダというメーカーのセンスの高さを感じずに入れられない。過去のモデルをあまねく愛する想いに溢れているのも嬉しいところだ。今年もマツダはオートモビルカウンシルで本気を見せてくれた。早くも来年の展示が期待される。

[TEXT:遠藤 イヅル/PHOTO:和田清志]

© 株式会社MOTA