妊娠糖尿病 2型発症 母乳育児でリスク軽減 長崎でシンポ

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 「第27回母乳育児シンポジウム」(日本母乳の会主催)が4、5の両日、長崎県長崎市内で開かれ、全国の産科医らが母乳育児の意義や推進について意見を交わした。5日講演した国立病院機構長崎医療センター(大村市)の安日一郎産婦人科部長は、妊娠してから血糖値が高くなる「妊娠糖尿病」の母親について、出産後に母乳育児の期間が長いほど2型糖尿病の発症リスクが軽減されたとの調査結果を報告した。

 女性は妊娠が進むにつれて、ホルモンの影響でインスリンの働きが低下。全体の7~9%程度が妊娠糖尿病と診断されるという。患者は体質的に糖尿病にかかりやすい人が多く、出産でいったん治っても、その後に食生活や運動不足、肥満を原因とする2型糖尿病を発症しやすい。母乳育児が予防に役立つことは欧米の調査結果で報告されており、同センターは日本人でも同様の傾向があることを確かめた。昨年、論文発表した結果を講演で報告した。

 講演によると、2013~14年に同センターで診断した妊娠糖尿病患者88人について、出産1年後に糖尿病の前段階である「耐糖能異常」の症状があったかを調べた。全く母乳を与えなかったり、授乳が8割以下だったりした人の発症率は77・8%だったのに対し、完全に母乳だけか、一定期間8割以上授乳していた人は45・7%にとどまった。

 授乳期間と1年~1年2カ月後の耐糖能異常の発症率の関係も調査。授乳しなかった人は77・8%発症していたのに対し、6~8週授乳した人は50・0%、6カ月以上は43・8~45・0%と、授乳期間が長いほど発症率が低かった。

 授乳は1日当たり480キロカロリーのエネルギーを消費し、糖分を処理する能力を高める効果などがあることが分かっている。講演で安日氏は「母乳をやると、なぜ生涯にわたり糖尿病の発症を予防できるのかは分かっていないが、(発症率が)下がるのは間違いない」と指摘。取材に対し「母乳育児は赤ちゃんだけでなく、母親の将来の健康にも役立つといえる」とした。

シンポジウムで講演する安日氏=長崎市茂里町、長崎ブリックホール