30号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018スーパーGT第5戦富士 レースレポート

2018 AUTOBACS SUPER GT ROUND5 富士スピードウェイ
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
8月4日(予選) 天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2万2100人
8月5日(決勝) 天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:3万8300人

織戸学選手を助っ人に起用、大逆襲の兆しが見えた矢先に……

 全8戦で争われるスーパーGTシリーズは、富士スピードウェイを舞台に、シーズン折り返しとなる第5戦、『FUJI GT500 mile RACE』を8月4日~5日に開催した。今シーズンもaprは2台のトヨタ・プリウス ZVW51を走らせ、#30 TOYOTA PRIUS apr GTを3年目のタッグとなる、永井宏明選手と佐々木孝太選手に託すこととなった。
 
 唯一年に2回、レースを行う富士スピードウェイだが、従来は夏のレースを300kmで競ってきたものの、今年は500マイル(約800km)で競われることとなった。今シーズン一番の長丁場となったため、第3ドライバーの登録も可能に。そこで#30 TOYOTA PRIUS apr GTの助っ人として、織戸学選手を起用することとなった。
 
 ここまで不運な展開が続いて未だ入賞が果たせぬなか、織戸選手の存在が逆襲に向け、カンフル剤となることが期待される。この長く、猛烈に暑くなるであろう戦いに、ノーハンデで挑めるメリットは計り知れず。予選、決勝ともに大暴れは、もはや必至と言えた。
 

公式練習 8月4日(土)8:40~10:25

 記録破りの猛暑が続くなか、レースウイークの富士スピードウェイも例外とはならなかった。ただ、日差しは上空が薄い雲で覆われている影響なのか若干弱めで、公式練習が始まった時の気温は28度、特に路面温度は35度と想像をはるかに下回っていた。
 
 最初に#30 TOYOTA PRIUS apr GTをドライブしたのは永井選手。セッション開始と同時にピットを離れ、いつものようにチェックのみ行ってピットイン。微調整を施して、本格的な走行を開始する。途中、赤旗中断があったものの、それを除けばピットに入ったのは1回のみ。永井選手はしっかりマイレージを稼ぎ、なおかつ1分40秒358を記す。
 
 続いて初めて乗り込んだのは織戸選手。計測3周目には1分40秒台に入れてくるあたりは「さすが」の一言。2度のピットを挟んで、最後まで走行し、1分40秒500をマークする。佐々木選手の走行は、続けて行われたサーキットサファリから。一度もピットに戻らず、セッションをフルに活用して方向性を見極めることに専念。ここでのベストタイムは最後に記された1分40秒709だった。

公式予選Q1 8月4日(土)14:35~14:50

 今回も#30 TOYOTA PRIUS apr GTのQ1担当は佐々木選手。公式練習では1分40秒台を切れなかったこともあり、大幅にセットを改めて挑むこととなった。気温は若干上がって31度、路面温度は44度にまで上がって、かなり想定域に近づくように。
 
 それでもアウトラップに加え、2周をウォームアップに充てて、佐々木選手は入念に準備を整える。まず1分39秒800を記録した佐々木選手は、次の周に39秒782にまで短縮を果たし、ラストアタックで39秒270を叩き出す。
 
 ただし、このレースウイークのベストは更新したものの、Q1突破にはコンマ8秒届かず、22番手留まり。11列目からの決勝スタートとなるも、長丁場のレースに激しい追い上げが期待された。

永井宏明選手

「持ち込みセットでリアは良くなっていたが、まだフロントに課題がたくさんあるように感じました。明日は、ロングレースなので予選は22位ですが、しっかりマシンを仕上げて確実なドライビングで全員の力で結果につなげたいと思います」

佐々木孝太選手

「朝あまり乗ってなかったのでセットの内容は頭では理解してましたが、予選アタックでは全然フロントが駄目で、アンダーがきつくてタイムが出ない状況でした。明日は、ここを改善して後方からですが全力を尽くしたいと思います」

織戸学選手

「朝乗った感じだと、このマシンは全然速くなると確信した。ヨコハマタイヤのグリップが出るセットからはまだ遠いので、じっくり仕上げれば絶対化けるはず。明日に向け、自分ももっと考えます」

金曽裕人監督

「今年は1度もQ1突破ができていない。少しずつマシンは進化しているが、まだタイヤを使いきれる状況になっていない。もっと曲がって、もっと踏めるセットアップを探さないと決勝は厳しい。織戸選手からも新鮮な意見を頂いているので、我々はもっと固定概念を捨てて明日に取り組み何が何でもポイントを獲りたいと思います」

第5戦富士にスポット参戦した織戸学

決勝レース(177周) 8月5日(日)13:30~

 決勝レース前に行われる20分間のウォームアップに、今までとはガラリと違うセッティングを施して走行した#30 TOYOTA PRIUS apr GT。ヨコハマのタイヤを熟知した織戸選手のアドバイスを取り入れての変更ながら、これが大正解!
 
 最初に乗り込んだ佐々木選手が1分40秒047を、続いてドライブした永井選手が40秒433をマークし、何よりフィーリングの向上で、これなら行けると太鼓判を押したほど。大きな期待を抱いて挑んだ決勝レースだったのだが……。
 
 今回もスタートを担当するのは佐々木選手。静岡県警によるパレードランの後、フォーメイションラップを1周。しっかりコンディションを整え、グリーンシグナルの点灯と同時にアクセルを佐々木選手はグッと踏み込んでいく。スタートはまずます。だが、なんとヘアピンで接触が! スローペースながらピットに戻ってくる様子では、ダメージは少なく見えたが、メカニックが止まったマシンを確認すると右の足回りに大きなダメージが及んでいた。
 
 そこから修復が始まるも、時間は刻一刻と過ぎ去っていく。ようやく永井選手がピットを離れたのはスタートから1時間半以上経過し、トップからは53周も過ぎたタイミング。接触のペナルティとしてドライビングスルーを行った後、まともに走ることができなかったため、1周だけでまたピットに……。

 3時間近く経過して、織戸選手のドライブでふたたびピットを離れた#30 TOYOTA PRIUS apr GTながら、もう完走扱いにも及ばないことは明らかだったため、今後の方向性を探るためのチェックとして10周するに留め、そこでレースを終えることとなった。
 
 まだ一度も入賞を果たせぬばかりか、2戦連続のリタイアはあまりに痛い。ましてウォームアップで好感触を得ていただけに……。
 
 だが、後ろを振り返ってばかりではいられない。しっかり前を向いて次戦のSUGOに挑むのみ。テクニカルコースと知られるSUGOはJAF-GTの#30 TOYOTA PRIUS apr GTが最も得意とするステージ、ノーハンデであるメリットを生かし、今度こそ大逆襲としてもらおう。
 

永井宏明選手

「予選後に大きくセットアップを変更したことによって、ウォームアップ走行でマシンが激変しており、フロントのグリップが昨日とはまったく違いポンとタイムが出ました。今まで、何度もトライして見いだせなかったセットでした。間違いなく今回のレースは手ごたえがありましたが、結果は非常に残念です。残り3戦となりましたがこの流れと、ドライバーの走りで結果につなげますので、ご声援宜しくお願いいたします」

佐々木孝太選手

「フロントタイヤが温まり切ってないなか、無理してしまい1周もせずにクラッシュ。チャンスのあったレースを終わらせてしまいました。みなさま、本当に申し訳ございませんでした」

織戸学選手

「スポット参戦ではありましたがGTに復活できましたこと、この場をお借りし後押しくださった皆様にお礼を申し上げたいと思います。現役ドライバーとのガチンコバトル、とてもうれしかったです。今後も、機会があれば微力ながら#30号車をサポートできればと思います。みなさま、ありがとうございました」

金曽裕人監督

「予選まではタイヤとクルマのマッチングが取れていなかったのですが、助っ人の織戸選手の意見を取入れてウォームアップにまったく違うセットでトライしてみたら、すごくヨコハマタイヤがイキイキして始めたんです。正直言って織戸選手はヨコハマタイヤを使わせたら神ですね。チームにとって、ものすごくプラスになったし、決勝でも大きくジャンプアップできると期待していました。それがスタート直後に……すごく残念です」

「周りの評価通り、織戸選手は奥行きが深く、何の権利がなくなっても今後のセットにつなげて欲しいとのことから10周だけ走ってもらいました。結果、大変貴重なコメントとデータが取れました。最後まで走れていたら、本気で面白かったとの確信にもつながりました。残り3戦、マシンの方向性も見えてきましたので、みなさまのご期待に答えられる日は近づいています」

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