絞られるインディカーチャンピオン争い。残り4戦で勝利の女神は誰に微笑む?

 2018年のインディカー・シリーズも残り4戦となった。チャンピオン争いも候補が絞られてきている。

 ポイントリーダーはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)で494ポイント。

 ランキング2位はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)で448ポイント。トップのディクソンとの差は46ポイント。

 60ポイント差の434ポイントで昨年の王者ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がランキング3位につける。

 ランキング4位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)で407ポイント。ランキング5位はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポートで=399点。

 ランキング6位以降はロバート・ウィケンス(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が380ポイント、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が344ポイント、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が335ポイント。彼らも計算上ではタイトル獲得が可能だ。

 現実的に言えばチャンピオン争いはハンター-レイまでのトップ5に絞られているが、6番手以下でも連勝すれば一気にタイトル圏内。しかも、最終戦ソノマは賛否両論あるダブルポイントだから大どんでん返しは十分に起こり得る。

 優勝は50ポイント。ボーナスはポールポジションとリードラップがそれぞれ1ポイント。最多リードラップが2ポイント。1レースで獲得できる最大は54ポイント。ソノマではマックス104ポイントも加点が可能だ。

 出場台数にもよるけれど、ミド・オハイオと同じく24台出場で最下位なら6ポイントの倍=12ポイントしか稼げないので、相手がボーナス総取りで優勝の場合は一気に92ポイントも差は縮まる。それも同じ場合は2位の回数が多い方、それも同じなら3位の回数……。

■5度目の王者を目指すディクソン

 現在ポイントリーダーのディクソンがタイトル争いで最も有利な位置にいる。過去4度のタイトル獲得経験は、精神的アドバンテージとして大きい。38歳の彼は元々ミスの少ないタイプである上に経験を重ねてきて、とにかくポイントの取りこぼしが少ない。

 チップ・ガナッシ・レーシングはマシンの準備、作戦、ピット作業など、すべての面で実力が高い。彼らは開幕から上位フィニッシュを重ねているだけでなく、勝利数でも今年は3回で最多タイだ。

 2015年の彼らは最終戦ソノマで優勝してファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)と同点になり、勝利数がひとつ多かったディクソンがチャンピオンとなった。

 今のルールでチャンピオンになるにはソノマで強いことが必須。ディクソンは2007、2014、2015年の3回優勝している。シリーズタイトル4回はマリオ・アンドレッティ、セバスチャン・ブルデー、ダリオ・フランキッティと並んで歴代2位タイとなっているディクソンだが、5回目獲得となると7回のAJ・フォイトに次ぐ単独歴代2位となる。この記録も彼にとっては大きなモチベーションのはずだ。

■勝負強さが持ち味のロッシ。新チャンピオン誕生なるか?

 ロッシはミド・オハイオで見せた圧倒的な強さ。または、昨年のワトキンス・グレンでも見せた強さを最終2戦が行われるポートランドとソノマのロードコースで再現できれば初タイトルに手が届くだろう。26歳のチャンピオン誕生だ。

 ディクソンが2015年とは違って孤軍奮闘を余儀なくされているのに対し、ロッシの場合はハンター-レイらチームメイトのアシストも多少は期待ができる。ロッシはシーズン序盤、1マイルオーバルのフェニックスで実は最速だった。事前テストにもチームメイト3人と一緒に行っており、第15戦ゲイトウェイでのパフォーマンスにはかなりの期待ができそうだ。

■2連覇で黄金時代到来を望むニューガーデン

 昨年度チャンピオンのニューガーデンはシーズン前半に2勝し、タイトル連覇へ一直線と見えていたが、その後はアップ&ダウンを繰り返した。

 しかし、ライバルたちも決定力を欠いたままシーズンは終盤戦へと突入。次のポコノはニューガーデンが去年、チームメイトのパワーを追いかけ続けて2位フィニッシュしたレースで、その次のゲートウェイはもうひとりのチームメイト=パジェノーをバトルの末に弾き飛ばして優勝したコース。

 ロードアメリカで圧勝している彼にはポートランドとソノマでも速さを確保できる可能性十分で、昨年のソノマはパジェノーに次ぐ2位でフィニッシュしチャンピオンを獲得している。

 そして何より、彼の場合はパワー&パジェノーという優秀なチームメイトたちによるアシストが最も期待できる。マシンを仕上げるという面においてもふたりの元チャンピオンが味方となってくれるニューガーデンの環境が最も良い。

 彼自身がタイトル獲得経験者であることもプラス要員。27歳にして2年連続チャンピオンとなれば、いよいよ彼の黄金時代到来となるだろう。

 経験ならディクソン。勢いならロッシ。体制ならニューガーデン。ソノマでの成績が大きなカギを握るが、ここに挙げた3人のタイトル候補は誰もがロードコースを得意としており、優劣はつけ難い。勝利の女神は誰に微笑みかけるだろう?

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