御船町七滝で唯一の商店、熊本地震で被災も再開 弾む会話、笑顔のより所に

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7月28日に再オープンした「中田商店」に立つ中田博之さん、明美さん夫婦=13日、御船町

 「田舎のコンビニ」と書かれた真新しい看板が目印。熊本地震で被災し、店を閉めていた御船町七滝の「中田商店」が7月28日、再開した。「田舎の店は買い物をして終わりじゃない。お客さんと顔を合わせて会話をして…集いの場でもあるんです」と2代目店主の中田博之さん(62)。地区唯一の店の“復活”を喜ぶ住民が、店に活気を添えている。

 町中心部から山都町へ続く山あいの国道445号沿い。1951年創業の中田商店は、生鮮食品から日用品、酒類まで2千品目以上を扱う地域の台所だ。父から受け継いだ店を、妻明美さん(62)と切り盛りしてきた。

 地震で、店舗兼自宅は半壊。青果卸問屋も営む一家は、選果場の隅を居住スペースにして、壊れた店で営業を続けてきた。昨年6月に解体した時は「これを機に店を畳もうかと、一瞬胸をよぎりました」と博之さん。地区の人口は減少を続けている。採算は厳しかった。

 30年ほど前まで一帯は4店舗が軒を連ね、買い物客でにぎわっていたという。しかし2007年、七滝小が閉校。「その頃から地区は少しずつ活気を失っていった。地震のせいで最後の店までなくすわけにはいかない」と博之さん。明美さんも同じ気持ちだった。「店も小学校も、地域で暮らす人をつなぐ場所だと思う。もう寂しい思いはしたくないし、してほしくない」

 再オープン初日には200人が詰め掛けた。「近所の人、全員来てくれたんじゃねえかな」と博之さんは照れ笑い。夏休みで帰省した子や孫と連れだって菓子やアイスクリームを買いに来る住民の笑顔に、2人は「再建して良かった」と心から思うという。

 夕飯の支度で夫婦で店を訪れていた近くの楠本隆昌さん(80)は、「車の運転もできなくはないが、(山の)下まで行き来するのは大変。近くに店があると思うだけで安心して暮らせます」。30分ほど話に花を咲かせていく常連客も少なくない。

 再開した店には、レジの隣に木製のカウンターと椅子を並べた。買い物客のために、休憩スペースもこしらえた。「インターホンが鳴れば、朝でも夜でも寝間着で対応しますよ」と博之さん。定休日は決めず、夫婦で七滝の暮らしに寄り添う。(立石真一)

(2018年8月14日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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