東洋ライス「BG無洗米」でエコ・ファースト企業に

東洋ライス(和歌山県和歌山市、雜賀慶二社長)は8月7日、「エコ・ファースト企業」に認定された。同制度は、環境分野で先進的かつ業界をリードするような事業活動を行う企業を環境大臣が認定するもので、米穀業界での認定は今回が初めて。同社が開発した「BG無洗米」により、とぎ汁による汚濁物質発生や環境負荷を抑え、同時に削った米ヌカを有機肥料としてリサイクル利用するなど環境保全を推進している点が大きく評価された。(オルタナ編集部=堀理雄)

「BG無洗米」の由来は、ヌカ=Branを削る=Grindという意味だ。無洗米には国が定めた基準がなく、各社がそれぞれの方法で米ヌカを除去している。水で洗う方法やブラシ状のものでこする方法などがあるが、同社が1991年に開発した「BG無洗米」はヌカの粘着力を利用してはがし取るもので、添加物を加えない唯一の製法だという。

また同社では、削った米ヌカを廃棄することなく「米の精」として商品化し、稲や野菜の有機質肥料や、牛への飼料としてリサイクル利用している。台所だけでなく工場からもとぎ汁の排出をなくして汚濁物質やCO2などの環境負荷を減らすとともに、副産物を農畜産業に循環利用する取り組みだ。こうした点が評価され、今回の認定に至った。

エコ・ファースト制度では、認定企業は自らの環境保全の取り組み目標を設定し、その達成を「約束」することになっている。同社の約束は、①BG無洗米の普及を通じ、CO2やエネルギー、汚濁物質の削減、②副産物である「米の精」の利用量を増やし、循環型社会の形成に貢献する、③自然環境保護や生物多様性保全に向けた環境教育の推進――の3つだ。

具体的な数値目標としては、2021年度に2006年度比で、CO2排出削減量を32%増、汚濁物質・エネルギーの削減量を21%増、などの目標を掲げている。

こうした目標を進めていくうえで、同社の雜賀慶二社長は「ひとつの会社だけで達成しようとするのではなく、取引業者や消費者を含め様々な主体の協力が欠かせない」と強調する。

同社は全国に50以上の工場や拠点を持ち、生産者や販売店、外食産業などを相手に無洗米製造を提供している。実際に無洗米の普及を進め、CO2や汚濁物質を減らしていくなどの目標は、消費者を含めサプライチェーンを通じた協働によって達成されるという指摘だ。

また雜賀社長は今後の展望について、「健康」をあげる。「お米の栄養分は生活習慣病の予防などにも有効。国の医療費を削減することを通じ、社会の持続可能性に貢献したい」と述べた。

「エコ・ファースト制度」は2008年に始まり、現在認定企業は45社。環境の分野において「先進的、独自的でかつ業界をリードする事業活動」を行っている企業であることを環境大臣が認定する。認定を受けた企業はエコ・ファースト・マークを使用することができ、また環境大臣に対し、自らの環境保全に関する取組みや具体的な目標を約束することになっている。

エコ・ファースト制度認定企業一覧 (上から認定順)

© 株式会社博展