6点差逆転の西武、辻監督が称賛した源田の3連続好守「ああいう守りは大きい」

サヨナラ勝利に喜ぶ西武の選手たち【写真:荒川祐史】

最後はサヨナラ勝ち、多和田は初回6失点も2回以降は快投「そこは褒めてやりたい」

■西武 7-6 オリックス(14日・メットライフ)

 西武は14日、本拠地でオリックス相手に6点差をひっくり返し、最後は劇的なサヨナラ勝ちを飾った。チーム最多の12勝を挙げている多和田が先発したが、今季5勝と相性の良いオリックス相手に初回まさかの6失点。追いかける展開となったものの、打線が3本塁打でじわじわ点差を詰めると、8回裏に2本の適時二塁打でついに同点に追いつき、そのまま延長戦へ。最後は1死一塁から、今季2度サヨナラ安打を放っている森が左中間を破るヒットを放った。一塁走者の山川が一気にホームイン。カード初戦をものにした。

 試合後、辻監督は「わからん。真夏の夜の夢。あっという間の失点」と初回の6失点について振り返った。「悪くはなかったんだけどね。エラーも絡んだり、打ち取った打球がポテンヒットになったりが重なった部分もあった」と、多和田に不運な面もあったことを擁護。ただ、2回以降は8回までオリックス打線を無失点に抑えただけに「あとは見事。そこは褒めてやりたい。普通、6失点ならいつ代えられてもいいところだけど、8回まで投げたことは本当に素晴らしいこと」と粘投を称え、「カード頭を任せられる投手になってきている。成長してきたと思います」と最近数試合の登板を評価していた。

 多和田自身も「大量失点はもったいなかった」と初回の投球を後悔しつつ「2回以降はなんとか粘って投げることができた。次回以降、今日の2回以降のようなピッチングができるよう、しっかり投げたい」と次の登板へ向けて気持ちを引き締め直していた。

 多和田の粘投の他にもこの試合の勝因はいくつかあげられるが、「4回表、3つの遊ゴロ」も大きかった。オリックス先頭打者、7番・大城が初球を叩くと打球は三遊間の深い位置へ。これを遊撃手・源田壮亮が逆シングルで捕球し、素早く一塁へ送球。1アウト。続く8番・安達の二遊間への打球も素早くキャッチし、一回転して一塁へ。2アウト。最後、9番・若月の打球は再び三遊間。今度は少し前で捕球して一塁送球で3アウト。いずれも「源田らしい」華麗なフィールディングで、オリックスの攻撃を3イニング連続の3者凡退で終わらせた。

延長10回の山川の激走に森は「なかなか進まなかったから、どうなんだろう」

 その守備について、現役時代に二塁手としてゴールデングラブ賞8回受賞の名手・辻監督は「あのプレーはヒットに価するプレーだし、勝利に価するプレー」と最大級の賛辞を送ると、「ああいうプレーに助けてもらって、多和田の粘投にもつながったと思う。(野球は)打つだけじゃない。やはり、ああいう守りは大きいと思います」と続けた。良い守備が良い投球リズムを生む。源田の守備力がチームの大きな戦力であることを、指揮官は改めて口にした。

 最後は、3番・浅村と4番・山川の「2者連続ヘッドスライディング」から、森の一打で、一塁走者山川が一塁からホームイン。打った森が「なかなか進まなかったから、どうなんだろう」と内心肝を冷やしていた山川の激走&ホームヘッドスライディングが、この日の決勝点となった。

 0-6の劣勢から、チーム全体の粘りでサヨナラ勝つにつなげたこの日の勝利を「1勝以上のものがある」と振り返った辻監督。「ここへ来てチーム状態がいいのは、大きな目標があるから」。大きな目標とはもちろん10年ぶりの優勝のことだ。

 世間はお盆休みの真っ只中。劇的勝利で幸先良くカード頭をとった。指揮官は「多くのファンの方にご来場いただき、球場を青く染めていただいているので、明日もまたいい試合をして、勝てるように頑張りたいと思います」と最後は早くから来場し、スタンドを獅子風流ユニフォームで埋め尽くしたファンへメッセージを送っていた。(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

© 株式会社Creative2