金属行人(8月15日付)

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 技術立社で知られる金属メーカーが営業強化に乗り出している。経営トップから「自社の製品にQCD競争力があり、技術サポートをしっかりやっていれば、頭を下げなくても顧客は選んでくれる」と製品競争力に対する強い自負を聞いていたが、営業を軽視していたわけではなかった。「技術や研究が持たない機能を営業は果たしている」とトップ自ら営業に出向き、顧客との接点強化に力を入れている▼営業トップに話を聞くと、「いかに顧客と信頼関係を築き、フェアでかつ自社に有利な競争条件を作り上げるか。足元の仕事もそうだし、3年後や10年後へ向けた仕事という意味でも、会社の業績を決めるのは営業であり、新製品を顧客と共創するのも営業の仕事だ」という▼日本の製造業がひたすらに欧米勢の背中を追っていた時代、ある海外ユーザーが調達先を開拓する必要に迫られ、同社の潜在能力に目を付けた。工場サイドは要求水準の高さに難色を示したが、営業が技術陣を説き伏せ、工場は製品開発、生産技術開発に粘り強く取り組んだ。このアイテムは、今では世界首位の看板商品に育っている▼営業は技術を鍛え、会社を強くもする。この時の経験は技術立社たる同社の礎にもなったそうだ。