関ケ原、浅草雷門…観光地の土産物ちょうちんで精霊船 旅先で集めた100個を使用

 長崎県長崎市神浦丸尾町で、全国各地の土産物ちょうちんを飾り付けた精霊船が完成した。今年6月に96歳で亡くなった同町の村山マスさんが旅先で集めた約100個を使用。船を造った長男の村山正信さん(69)=長崎県西彼長与町高田郷=も出来栄えに満足そうだ。

 マスさんは80代前半まで、介護老人保健施設の支援相談員として働いた。初盆参りの元同僚女性(65)は「慰安旅行に行くと、マスさんは『思い出に』と必ずちょうちんを買った。情が深く、上司であり母のような人だった」と振り返る。

 看板業を営む正信さんが船のデザインを考えた。ちょうちんはどれも長さ25センチほどと小ぶり。3段に分けて取り付けると観光地の地名や絵がずらり並んだ。「富士山」「佐渡金山」「浅草雷門」「関ケ原」。「長崎旅博覧会」と書かれた約30年前のものもある。

 「北海道から沖縄までどこにでも行っとる」。正信さんが感心する通り、色とりどりの“装飾”は旅好きなマスさんの足跡のよう。生前はちょうちんを部屋に飾り「精霊船の灯ろうに使って」と話していたという。正信さんは「母も願いがかなって喜んでいるはず」とほほ笑んだ。

母マスさんが集めたちょうちんで精霊船を造り、み霊を送る村山さん=長崎県長崎市神浦丸尾町

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