新体操部の母「眞理子先生」へ馬車と演技 精霊流しを前に追悼と感謝

 4月に62歳で亡くなった活水新体操部の“母”吉田眞理子さんを追悼しようと、長崎県長崎市宝栄町の活水中学・高校に14日、監督や部員、卒業生ら約160人が集まり、製作した馬車と部員らの演技で「眞理子先生」へ感謝の気持ちを届けた。

 吉田さんは保健体育教諭として活水中・高に赴任し、1981年に新体操部(2年間は同好会)を創設。幼児、小学生のクラブもつくり、競技の普及にも尽力した。2014年には活水女子大健康生活学部の特別専任准教授に就任し、翌年からは大学の新体操部をメインに指導。教員生活の約40年間を「活水新体操」にささげた。

 15日に大学生、16日に中学生がそれぞれ全国大会に出発するため、「精霊流しで先生を見送ることができない」として、7月末から監督を中心に卒業生と部員約20人で練習の合間に馬車を製作した。「大会会場に寄り道できるように」と願いを込めて馬車にしたという。

 縦90センチ、横1・9メートル、高さ1・8メートル。車体は吉田さんのイメージカラーの黄色を施し、大好きだったバラの花などを装飾。顔写真の周辺に、部員が「思いやりのある選手になる」「何事も全力で決めたことは簡単に諦めず最後まで挑戦する」など誓いの言葉を記した。

 同日午前、中学・高校のチャペルで追悼礼拝があり、部員や卒業生らが献花。活水高新体操部第2回卒業生で、活水学院新体操部後援会の国分浩子副会長は「『何泣いてるの、しっかりしなさい』と先生に叱られないよう活水新体操部としての自信と誇りを持って生きていきます」と述べた。

 その後、吉田さんに向けて体育館で大学、高校、中学の部員がそれぞれボールやリボンなどを使って演技を披露。最後に先生が好きだった「サザンオールスターズ」の曲に合わせ、部員全員が制服姿に麦わら帽子でダンスした。

 10年間、吉田氏の指導を受けてきた活水女子大4年、田中妙さん(21)は「先生に教えてもらった芯の強さ、元気さが演技で伝わるよう、大会では最後までやりきりたい」と語った。

 活水女子大新体操部の美馬美郁監督は「一人一人の部員と向き合う先生の姿勢を受け継ぎ、こんな時に先生ならどうするだろうと日々考えながら、指導していきたい」と涙を浮かべた。

吉田眞理子先生を送り出すために製作した馬車の前でダンスを披露する生徒たち=長崎県長崎市宝栄町、活水中高体育館

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