結核の予防・治療 指示通り服薬でほぼ完治

 結核菌によって主に肺に炎症を起こす結核。感染者を見つけるには胸部エックス線撮影などの健康診断が重要です。もし感染が分かっても薬物療法を指示通り確実に続けることで、ほとんど治すことができます。結核の治療に詳しい国立病院機構熊本南病院(宇城市松橋町)の山中徹・呼吸器科部長に聞きました。(高本文明)

 -結核になるリスクが高い人は。

 「大半は戦後の流行期までに結核菌に既に感染している高齢の方です。しかし流行期以後に生まれた人の多くは、結核に感染したことがないため、抵抗力が弱いと考えられます。糖尿病の人や胃の手術を受けた人などは、特になりやすいことが分かっています」

 -結核菌を吸い込む空気感染によって人から人にうつりますね。

 「最近では、カラオケルームやネットカフェといった、人が集まる狭い空間で感染が広まる場合があります。病院や施設など高齢者が集まる場所では、進行した状態に気づかないまま周囲に感染を広げてしまう事例も報告されています。高齢者と接する機会の多い職業の人は特に注意が必要です」  

-結核にならないためには。

 「予防としてBCG接種が広く普及していますが、それだけでは完全には予防できません。発病した人を早く見つけるため、健康診断が重要となります。長引くせき、微熱や倦怠[けんたい]感などの症状があるときは積極的に胸部のエックス線検査を受けましょう。無症状でも健康診断などで結核が見つかる場合もあります。エックス線検査で結核が疑われる場合は、胸部CTや喀痰[かくたん]を顕微鏡で調べます。最終的には菌の遺伝子を検査して結核かどうかを確定します」  

-もともとリスクの高い人は。

 「何らかの持病がある人はできるだけ治療して改善しましょう。特に糖尿病はコントロールが悪いと、結核の発病リスクが飛躍的に高まります。喫煙も結核を発病しやすくするため、禁煙はとても大切です。また、若い人でも、偏食や疲労の蓄積などによって免疫力が低下しないよう、栄養をしっかり取り、十分な睡眠時間を確保して健康を維持するのが大切です」  

-結核になってしまったら。

 「まず、決められた薬を指示通り確実に服用すれば、ほとんどの方が治ります。薬は6カ月から1年間程度、初めは4種類、後からは2種類ほど飲んでいただきます。きちんと薬を飲まないと、薬が効かない耐性のある結核菌を生み出す可能性があり、治療が大変難しくなります。感染が分かれば発病を抑える予防薬を服用することもあります」

 「喀痰の検査で菌が見つかった人は、ほかの人に感染させるリスクが比較的高いと考えられますので、しばらく隔離入院していただきます。菌が見つからなければ、外来で治療できます。病院のスタッフと保健所の保健師さんがサポートしていきます」

 -保健所も関わるのですね。

 「感染症法に基づいて、医師は結核と診断すると、ただちに保健所に届け出る義務があります。保健所は感染拡大を防ぐため濃厚接触者の調査などをします。患者さんの家族や職場の同僚などに、検診を指示することもあります。患者さんが治療中に毎日確実に服薬してもらうために日本版DOTS(直接服薬確認療法)にも連携して取り組みます」

 「喀痰に結核菌が見つかっても同居者が感染している可能性は30~60%で、感染が成立しても、そのまま発病する例は10~20%です。発病するとしてもBCGワクチンを既に接種している人は5~6カ月かかります。結核は発病しなければ、心配する必要はありません。患者も家族も医療従事者も、焦らず、慌てず、侮らずに対応することが大切です」

(2018年8月15日付 熊本日日新聞夕刊掲載)

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