LMEニッケル在庫、8カ月で3割減少 減少続けば価格上昇も

 LME(ロンドン金属取引所)ニッケル在庫の減少が続いている。現地10日のLME在庫は約24万8千トンとなり、13年11月以来、およそ4年9カ月ぶりの水準となった。年初から8カ月間で約11万7千トン(32%)減少したことになる。足元のニッケル価格は米中貿易摩擦による中国経済への悪影響を懸念する動きから弱含みで推移してきたが、在庫の減少が継続すれば実需の底堅さが意識され、一段高となる可能性もある。

 現地10日のLME在庫は、前日比774トン減の24万8772トン。14営業日連続で減少した。ニッケル在庫は11年後半から増加基調となり、15年6月に過去最高となる47万トン超まで増加していた。その後は供給過剰を背景としたニッケル価格の低迷により、新規開発プロジェクトが停滞し、需給バランスは16年に6年ぶりとなる不足バランスに転じた。

 需要は、ステンレス鋼需要が堅調に推移していることに加え、車載用電池向け需要が立ち上がってきたことで今年も高い伸びが見込まれている。国際ニッケル研究会(INSG)が4月に公表した需給予測によると、18年は11万7千トンの供給不足と3年連続で不足バランスになると予測している。

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