伊の橋崩落、保守管理会社早くも「責任ない」主張

By 太田清

イタリア北部ジェノバで崩落した高速道路の高架橋=14日(ロイター=共同)

 イタリア北部ジェノバで高速道路の高架橋が崩落し多数の死傷者が出た事故は、これまで判明しただけでも38人が犠牲となる惨事となった。死者には夏休みの家族旅行中だったとみられる子供らも含まれ、救助隊は現場のがれきの下になお生存者がいる可能性があるとして捜索を続けている。イタリアの主要メディアが伝えた。 

 ジェノバで閣僚会合を開いたコンテ首相は、高速道路の保守管理をする民間会社「アウトストラーデ・ペル・リタリア」に責任があることは「疑いようがない」と指摘。ディマイオ副首相は同社の持ち株会社の親会社であるベネトン・グループが「インフラの保守管理に投資することなく、利益を自分たちで分け合っている」と批判した。一方、トニネッリ・インフラ・運輸相は「アウトストラーデ・ペル・リタリア」の経営陣の退任を求め、同社から高速道路の管理権を剥奪する手続きを始めたと明らかにした。 

 高速道路の保守管理体制に批判が集まる中、ロイター通信などによると、「アウトストラーデ・ペル・リタリア」は15日声明を発表し、高速道路の保守管理に多額の投資をしていることを強調した上で、崩落した高架橋については「事故前にも定期的な点検を行っており、安全性を保証する結果を得ていた」と、保守点検に問題点がなかったと主張。さらに、同社の保守管理計画は「インフラ・運輸省の承認を得ていた」とも指摘した。 

 ジェノバの検察当局者は過失致死容疑などで捜査を開始したとした上で、捜査の焦点が高架橋の設計や保守管理に問題がなかったかどうかになるとの見通しを示した。 (共同通信=太田清)

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