富合町の中心土地区画整理 規模縮小して再出発へ

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土地区画整理事業が計画されている南区役所の周辺。農地の間に真新しい住宅が増えている=14日、熊本市南区

 2001年の都市計画決定後、足踏みが続く熊本市南区富合町の「富合中心市街地土地区画整理事業」(21・7ヘクタール)が、約5ヘクタール縮小される方針になった。一帯は虫食い状に宅地化が進んでおり、「このままでは十分な道路整備ができなくなる」という懸念から早期着工を目指す。しかし今も青写真は見えず、「本当に実現するのか」との不安も根強い。

 計画地は市中心部から南に約12キロの南区役所周辺。国道3号やJR富合駅、小中学校にも近く、地価も比較的安いことから住宅地として人気を集める。計画地を含む清藤・廻江[まいのえ]両地区の人口はこの6年間で倍増し、約1400人になった。

 市街化区域だが農地も多く、真新しい住宅も立ち並ぶ。以前のままの道路は狭く、歩道も一部しかない。住民からは「朝夕に車が混雑するようになった」「子どもは安全に通学できるのか」など心配する声も聞かれる。

一時は休止に

 同事業は当初、最大500区画の宅地や区役所へのアクセス道路、歩道、公園、洪水を防ぐ調整池などを整備。スーパーなども誘致し、高齢者らが車を使わずに地元で買い物できるようにする計画だった。

 事業主体は地権者による組合。20億円以上とみられる事業費は、地権者が減歩[げんぶ]で提供する保留地の売却益などで賄う予定だ。市は08年、富合町との合併に伴う「新市基本計画」で約3億円の補助を約束。17年度までに調査費など2千万円を支出し、後押ししてきた。

 市によると、計画が進展しなかった最大の理由は、バブル崩壊から続く地価の下落で、地権者間の意見がまとまらなかったことという。12年には一度、組合設立のための準備委員会は休止したが、人口増や地価の上昇を受け、16年に活動を再開した経緯がある。

 その間も、一帯では民間による宅地化が進んできた。今も数十区画規模の開発話が複数箇所で出ている。地元不動産業者は「消費税増税の時期や、熊本地震後の需要を意識して売り急ぐ地権者もいる」と明かす。住宅地としての人気が計画実現にブレーキをかける結果にもなっている。

**「南の拠点に」 **  地権者約150人でつくる準備委の野口宣夫会長(71)は「熊本市の南の拠点となるために、ぜひ市街化を実現したい」と力を込める。

 準備委は既に家が建つ約5ヘクタールを除外し、農地中心の約16ヘクタールに絞った縮小を模索。アンケートでは地権者の大半が賛同しており、市富合地域整備室と協力して縮小案の具体化やスケジュール調整を急いでいる。事業の採算を左右する保留地の売却先も探しており、「住宅会社の反応は良い。スーパーも地場なら脈はある」と両者。

 「今が最後のチャンス。何とかやり遂げたい」と野口さん。今秋にも計画案を固め、来年の市都市計画審議会での承認を目指している。組合設立はさらにその後で、条件が整わなければさらに後ろへずれ込む可能性がある。(猿渡将樹)

(2018年8月16日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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