大阪ガス、蓄電池活用に向け米ベンチャーと共同実験

大阪ガスと米ベンチャー「グローイングエナジーラボ」社との共同実証実験のイメージ図(大阪ガス提供)

大阪ガスは8月7日、米国ベンチャー企業と共同で蓄電池の活用についての実証実験を行うと発表した。家庭用太陽光発電などの固定価格買い取り制度(FIT)が2019年以降に期限切れを迎えることを踏まえ、それ以降電気を効率よく自家消費するために重要となる蓄電池のコントロール技術を高める狙いだ。将来的には仮想発電所(VPP)を通じ、各家庭や事業所で発電された余剰電力を市場に供給するための需給調整機能を高めることを目指す。(オルタナ編集部=堀理雄)

実証実験は、蓄電池制御のソフト開発などを行う米国のスタートアップ企業「グローイングエナジーラボ」社と共同で行う。同社は米国や豪州で、多数の蓄電池で構成した電力供給のプラットフォームを提供している。大阪ガスは3月に同社へ出資を行い、今回の実証実験の準備を進めてきた。

実験では、太陽光発電と蓄電池を効果的に組み合わせ、経済性向上と需給バランス調整の両立の検証を行う。今後ニーズの高まる自家消費の最大化に加え、余った電力を市場に供給するための蓄電池のコントロール機能が実験の対象だ。

太陽光発電など小規模電力の需給調整には、仮想発電所(VPP: Virtual Power Plant)の実現が求められる。分散して点在する再エネ発電など小規模な発電設備を束ね、情報・通信技術により制御コントロールする仕組みだ。その実現に向けても蓄電池を使った需給調整のノウハウが重要なポイントとなる。

大阪ガス広報部報道チームの佐々木啓太さんは「これまでFITのもとで(各家庭などで)売電していた電力の買い取り期限切れに伴い、ためた電気をどう使うか。まずは自家消費があげられ、さらに余った分については将来的にはVPPを通じ需給調整市場に向けていく。そのために蓄電池のコントロール技術が重要だ」と指摘する。

実証実験は今年8月から来年3月にかけて、家庭用と業務用の蓄電池に分けて、それぞれ大阪ガスの実験集合住宅「NEXT21」と今津グラウンドで行われる。

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