徹底比較!国民民主党と立憲民主党。真の「野党第一党」はどっちだ!?

国民民主党の代表選挙が9月4日に実施される予定です。沖縄の県知事選挙や自民党の総裁選挙に埋没気味で話題になる機会はあまり多くありませんが、参議院野党第一党の代表を決める重要な選挙です。

前回の記事では国民民主党の成立背景をおさらいしました。今回は同じく民進党の系譜を継ぐ衆議院野党第一党の立憲民主党と比較しながら、国民民主党の政策的な立ち位置などを確認していきましょう。
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国会に2つ誕生した「野党第一党」

2017年の衆院解散総選挙にあたり、民進党の前原誠司代表(当時)が民進党としては公認候補者を擁立せず、全員が希望の党へ公認を申請する方針を打ち出しました。

しかし、希望の党の小池百合子代表(当時)が党の政策に合わない人物については公認しないとしたいわゆる「排除発言」を受けて行き場を失った民進党のリベラル系議員と候補者が、枝野幸男氏を中心に立ち上げたのが立憲民主党でした。一方、国民民主党は参議院に残った民進党と、希望の党が合併し、民進党を引き継ぐかたちで(一部の離脱者を出しながら)今年の5月に民進党の大塚耕平氏と希望の党の玉木雄一郎氏を共同代表として結党しました。

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その結果として、野党第一党となる議席数を保有しているのは、衆議院では立憲民主党、参議院では国民民主党、という民進党を起源とする2つの党によるねじれが発生してしまいました。

国民民主党は民進党の地方組織をそのまま引き継いでいるため、現時点ですでに47都道府県に地方組織を有している一方、立憲民主党は党HPによると2018年8月現在で28都道府県にしか支部を持っておらず、来年の統一地方選・参院選に向けて急ピッチで準備を進めています。

支持母体である「労働組合」の対応は?来年の参院選はどうなる?

過去を振り返ってみると日本社会党(1945-1996年。1996年に現在の社民党に改名)、民主党(1998-2016年)、民進党(2016-2018年)といったこれまでの野党第一党は労働組合の支持に支えられてきました。

当時の野党第一党であった民進党の分裂に際して、数多くの労働組合を束ねる日本労働組合総連合会(連合)は国民民主党・立憲民主党の双方と政策協定を結び、次の参院選には両党に5人ずつ組織内候補を擁立する方針を決めています。組織票が分散することによって、当選が遠ざかるのではないかなど、選挙結果にどのような影響があるのかに注目が集まります。

 

働き方改革。立憲民主党は解任決議案を提出、国民民主党は同調せず

国民民主党と立憲民主党で国会対応に大きな違いが見られたのが、先の通常国会での「働き方改革関連法案」についての対応でした。

採決を巡って、立憲民主党と共産党、自由党、社民党は審議を強引に進めたとして参議院厚生労働委員長の解任決議案を提出しましたが、国民民主党は「『法案に反対だから委員長解任』ということになるわけではない」(大塚共同代表)としてこれに同調しないなど、対応に差が見られました。

カジノ実施法。立憲民主党は反対、国民民主党は付帯決議を提出

また、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の参議院内閣委員会での審議では、立憲民主党はギャンブル依存症に対する社会的コストが生じ、マネーロンダリングの温床になるとして反対に回りました。その一方で国民民主党は採決には反対したものの、与党と協議してギャンブル依存症対策を推進することなどを盛り込んだ31項目の付帯決議を自民、公明、維新と共同提出しました。

この対応は結果的に政府与党の強権的な姿勢をバックアップすることになってしまったとして他の野党から激しい批判を受けましたが国民民主党は「今の少ない議席数で、野党としての責任の果たし方の一つだ」と説明しました。国民民主党が理念として掲げている「右か左かといった二元論的な対立を乗り越え、社会全体を包み込む温かさをもった政治勢力の結集をはかる」といった考え方に基づいた議会での振る舞いが、立憲民主党を含む他の野党との違いとして浮き彫りになりました。

二大「野党第一党」の今後

いたずらに対立を煽ることなく現実的な妥協点を探ってゆく姿勢の国民民主党と、市民の目線になって徹底的に「まっとうな政治」を目指して政策を進めてゆく立憲民主党。これまでは民進党(民主党)という大きな勢力の中で意見を交わしながら与党に対抗してきたわけですが、ここにきて2つの政党に分裂してしまい、今後の選挙対策や政権交代を目指す枠組みについて、両党がどの程度協調しながら与党に対抗できるのかが問われてくることになりそうです。

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