【熊本城のいま】伝統技法で新たな石づくり

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石に差し込んだセリ矢を金づちでたたき、石を割る石工=7月、天守前広場(熊本城調査研究センター提供)
オリジナルの石の正面をかたどったプラスチック製の型紙(下)と、それを基に作られた石(熊本城調査研究センター提供)

 熊本城天守閣の大天守では、7月下旬から石垣の積みなおしが進んでいる。熊本市は崩落したり緩んだりして解体した791個のうち、再利用が難しい約170個は新しい石を使う。熊本城の石垣には、もともと金峰山周辺から切り出した安山岩が使われており、新たな石も安山岩を用いることにしている。

 市は自動車専用道路「熊本西環状線」を整備中で、西区の花園や池上町の山を削ると安山岩が出ることが分かり、この石を活用して新材を作っている。切り出した石はいったん二の丸駐車場の西側にある空堀に保管し、天守前広場に移動してから加工している。

 市の熊本城調査研究センターによると、プラスチック製のシートでオリジナルの石の正面をかたどった“型紙”を作成。これを基に新たな石を割っていく。

 まず小型ドリルのような「ルートハンマー」で石に細い穴を適当な間隔で開け、そこに鉄の棒状の「セリ矢」を差し込む。セリ矢は先が細く徐々に太くなっているため、上から金づちでたたくと穴が広がり、亀裂が生じて石が割れる仕組み。穴を開ける位置や、矢と矢の間隔は石工の経験によるという。

 これは石作りの伝統技法。以前は台形の穴を人力で開けて、そこにノミのような「矢」を差し込んで割っていた。熊本城の石垣にも、この台形の穴である「矢穴」が多く残っている。これは石を割った痕跡を示している。

 センターによると矢穴をひとつ開けるのには、約30分ほどかかったとみられる。センターの嘉村哲也さん(33)は「使う道具が違うだけで今もやっていることは昔と同じ。でもかなり時間は短縮されています」と話す。

 新たな石は上面に「2018新」と墨で書かれ、積みなおされる。これも熊本城の被災の歴史のひとつとして、後世に残されていく。(飛松佐和子)

(2018年8月17日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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